馬子草温泉きづな 四季折々の景色満喫
九重の雄大な自然が満喫できる温泉があると聞き、九重町田野の旅館「馬子草(まごそ)温泉きづな」を訪ねた。
大分市羽田の阿部忠直さん(70)が2001年に開業した。田野は妻・鏡子さん(69)の古里。2人は交代で毎日、同市から通う。「施設の管理は思った以上に大変だったが、せっかくいい温泉なので多くの方に堪能してほしい」と自信を見せる。
内湯と露天があり、熱めが好みの人は内湯がお薦め。露天からは硫黄山や三俣山、青々とした草原が見渡せ、空気もおいしい。湯の色は黄金色で、すくうと鉄のような香りがほのかに漂う。泉質は炭酸水素塩・硫酸塩泉で、まろやかな肌触り。湯口から出る湯は透明だが、空気に触れると湯船の底が見えなくなるほど濁った色になるという。
「今からはミヤマキリシマが咲いているのが見えるんよ。星空の下も最高」という。秋は紅葉、冬は雪と季節ごとに趣ある景色が楽しめる。
地元の時松慶子さん(77)は「上がった後もずっとぽかぽかして気持ちいい。お肌もつるつる」とにっこり。オープン当初から通う福岡県筑後市の津留邦政さん(67)も週2、3回、農作業の疲れを癒やしに訪れる。「若い頃に神経痛に悩まされてきたが、この湯に漬かると和らいだ気がする」としみじみ。
「地元の人に喜んでもらいたい」という阿部さんの思いに、身も心も温かくなった。
( メモ )
効能は神経痛や疲労回復、切り傷など。飲むと糖尿病や慢性便秘などにも効く。入浴は午前9時~午後8時(月、木曜日は午後1時から。土曜日は午後9時まで)。入浴料は500円(小学生以下250円)。不定休。問い合わせは同旅館(TEL0973・73・3517)。
味付けと食感、絶妙 米やみそ、漬物は自家製
きづなから車で5分ほど。農家レストラン「べべんこ」は鷲頭栄治さん(65)が家族で営み、育てた黒毛和牛の豊後牛を使った料理を提供している。一番人気の「豊後牛焼肉(やきにく)丼」(1680円)は塩、こしょうでシンプルに味付けした軟らかくてジューシーな肉と、甘辛く煮たタマネギ、シャキシャキのキャベツが絶妙な味わい。
米やみそ、漬物は全て自家製。できる限りの地産地消に取り組んでいる。営業時間は午前10時~午後5時(午後4時半オーダーストップ)。問い合わせは同店(TEL0973・79・3110)。