川西温泉 心配り伝わる社交場
「掛け流し 200円」―。国道210号を車で走っていると目を引く由布市湯布院町川西の「川西温泉」の看板。低料金で入れるとあって地元を中心に町外や県外からも登山や出張で来た人らが汗を流しに訪れる温泉だ。
温泉は無人。入り口にあるゲートにコインを入れ、バーを押して中に入る仕組みだ。男女別の内風呂は重厚な石造り。洗い場にはシャワーを備える。泉質は無色透明のアルカリ性単純温泉。仕事が終わった後、2日に1回は来る児玉竜大さん(47)=同町・サービス業=は「お湯が軟らかくて気持ちいい。早い時間が狙い目で人が少なく、くつろげる」とお気に入り。月に1回程度立ち寄る庄慎治さん(45)=大分市・会社員=も「湯加減がちょうど良く、ゆっくり漬かると疲れが取れる」と満足そう。
「地域の触れ合いの場に」と旧湯布院町が建設し、23年目。地元会社の「田舎の地花良」が指定管理者として併設する農産物直売所と共に運営する。昨年末から、自噴している源泉の湯量が減り、今年に入って休業を余儀なくされた。利用者の惜しむ声を受け、ポンプでくみ上げることで湯量を確保。4月から営業を再開した。「採算的には厳しい。とは言っても地元の人に気軽に入りに来てほしいから、何とか今の料金を維持したい」と佐藤譲二代表(57)。
常連の2人が川西温泉の魅力を話す中で「掃除が行き届いてきれい」と口をそろえたのが印象的だった。聞けば毎日営業時間後に湯を抜き、佐藤代表と役員らが隅々まで清掃しているという。低料金に加えて迎える側の心意気もリピーターの心をつかんでいる。
( メモ //) 営業時間は午前10時~午後8時。正月三が日のみ休み。入浴料200円(毎月26日は100円)。農産物直売所でシャンプー、コンディショナー、ドライヤーのセット(200円)の貸し出しやタオル(100円)を販売している。問い合わせは直売所(TEL0977・84・2907)。
味の調和絶妙「名物丼」 栄養バランスばっちり
川西温泉から車で10分ほどの所にある食事処(どころ)「たけお」。店主の竹尾国勝さん(75)オリジナルの「たけお丼」(1100円)は約30年前のオープン当初からの名物料理だ。
のり、カイワレ大根、辛子めんたいこ、錦糸卵、ニラ、ネギ、マスの昆布締め、牛肉の網焼き、キムチとご飯の上にのる具材は9種類。しょうゆベースの特製だしと具材の味の調和が絶妙で、この丼を目当てに来店するリピーターも多い。長男の浩一さん(41)は「栄養バランスもいいんですよ」と薦める。
営業時間は午前11時半~午後2時半、同5時~同8時(木曜日は昼間のみ)。月曜日定休。問い合わせは同店(TEL0977・84・5385)。