ゆのつぼ温泉 情緒感じる共同浴場
厳しい寒さが続いている。こんなときこそ温泉だ―と、駆り立てられるように由布市湯布院町へ向かった。雪の中、多くの観光客でにぎわう湯の坪街道を歩く。街道を大分川沿いに少し入った場所に、同町川上の共同浴場「ゆのつぼ温泉」はあった。ひっそりとたたずむ木造の趣ある建物。穴場スポットという印象だ。
番台はなく、入り口に設置してあるさい銭箱に料金を入れてから入浴する。管理は近くに住む利用者同士でつくる管理組合が行っている。男女ともひのきを使った内湯は大人8人が入っても十分な広さだ。神経痛や疲労回復に効くという無色透明の湯はやわらかく肌によくなじみ、寒風にさらされた身に染み入る。子どものころから毎日通っているという近所に住む佐藤芳子さん(71)は「入った後は肌がツルツルする。体もポカポカして湯冷めしない」と満足そうな笑みを浮かべた。
管理組合の浦田義隆さん(85)は「大正時代には既に存在していた。昔は自宅に風呂がないのが当たり前で、共同浴場はみんなの情報交換の場だった」と話す。建物は1995年に改装されたが、歴史を感じる雰囲気は残ったまま。夕方になれば顔なじみが集まってくる。
常連の立川末広さん(81)も「ここに来るといつも世間話に花が咲き、ついつい時間を忘れて長風呂になってしまうという」。現在も地元の貴重な社交場となっている湯船で、常連さんとの会話を楽しむのも一興だ。
( メモ //) 営業時間は午前10時~午後10時。無休。入浴料は大人、子どもとも200円。問い合わせは由布市湯布院振興局地域振興課地域振興係(TEL0977・84・3111)へ。
地元食材たっぷり定食 大分名物、一度に味わう
ゆのつぼ温泉からJR由布院駅方向に車で5分ほどの場所にある「陽だまり食堂」。地元の食材を使ったメニューは定食がメイン。昼のみの営業にもかかわらず、地元の人や観光客らから人気がある。
店員の溝口小恵子さん(61)のお薦めは「陽だまり定食」(1080円)。大分名物のとり天や豊後牛を使ったコロッケなど人気メニューが一度に楽しめ、ボリュームも満点。豊後牛を使った牛丼定食(864円)も定番だ。
営業時間は午前11時~午後3時。不定休。問い合わせは同店(TEL0977・84・2270)へ。