七里田温泉館下湯 黄金色の泡に包まれて
くじゅう連山の麓にある竹田市久住町有氏の「七里田(しちりだ)温泉館下湯」。七里田は地名で、江戸時代に岡城から7里(約28キロ)離れたコメの産地だったことに由来するという。チケットは隣接する「七里田温泉館木乃葉の湯」で購入。鍵を受け取り、約50メートル進めば案内板が目に入る。階段を下りると小川の横に黄色い壁と「日本無類の炭酸泉」の看板が目印の建物が見えた。
中は男女の湯室が一つずつ。脱衣所から石段を下れば湯船がある。湯は加温なしの掛け流しで温度は36度と低め。猛暑でほてった体が冷まされ、全身が黄金色のたくさんの泡で包まれた。しばらくすると泡で血行が良くなったのか体の芯から温まってくる。湯口ですくった湯を口に含むと、舌がしびれるような炭酸を感じて鉄のにおいが残った。
「木乃葉の湯」の常連客ですら存在を知らない人がいるという秘湯は、熱狂的な県外ファンでにぎわう。数年前から通う香川県の竹井雄二さん(62)はこの湯を求めて片道340キロの道のりを運転してやって来た。「炭酸泉は各地にあるが、他では満足できない」。福岡県の会社員奥江秀一朗さん(46)は「肌がこの感覚を忘れられなくなる」とのめり込んでいる。
地域の共同浴場として始まり、一時は閉鎖されながらファンの強い要望に応えて再開された秘湯は、多くの人を魅了している。
( メモ //) 営業時間は午前9時~午後9時(受け付けは同8時半まで)。定休日は第2火曜日。下湯の入湯料は大人500円、中学生以下200円、3歳未満無料。問い合わせは「七里田温泉館木乃葉の湯」(TEL0974・77・2686)。