東町温泉 地下に開放的な空間 壁画楽しみ、ひと息ついて
別府市のJR東別府駅付近から市街地を眺めると、オレンジ色の温泉マークが描かれた建物が目に留まる。共同温泉「東町温泉」(浜脇)だ。
1階で入浴料を払い、階段で地下に下りると脱衣所と浴場が現れる。地下といっても天井が高く開放的な造りで、日中は日が差し込み明るい。脱衣所との仕切りがない浴場の中央に楕円(だえん)形の湯船がある。数ある別府の温泉の中でも地下に湯船があるのは珍しいという。
湯船は約60度の熱湯をためた壁際の貯湯槽と地中でつながっており、木の栓を開閉して温度を調節できる。泉質は単純泉で刺激が少なく、老若男女問わず入りやすい。常連客は「子どもの頃から通っている。親しみもあり、ゆっくり漬かれる」と笑顔。
10月にはNPO法人ベップ・プロジェクトの企画で、同市在住のイラストレーター網中いづるさんが壁画を制作した。地元住民の意見を取り入れ、女湯には周辺の桜並木、男湯には別府湾と高崎山が優しい色調で伸びやかに描かれている。
常連の三重野正則さん(40)=同市西野口町=は「子どもと一緒に来ても安心で、ひと息つける場所。湯船で温まりながら壁画も楽しめる」と魅力を語った。
東町温泉組合の三ケ尻幸司組合長は、2014年5月から管理・運営を引き継いだ。地元住民を中心に1日約60人が訪れるが、高齢化などで入湯者は減っている。「楽しみにしている人のためになればと思い管理している。なくしたらもったいない。多くの人に利用してほしい」と話した。
(メモ/)東町温泉はJR東別府駅から徒歩1分。営業時間は午前5時半から午後10時半までで、年中無休。入浴料は小学生以上100円。30回分の回数券(1900円)もある。問い合わせはTEL0977・21・1267。
程よい甘さと餅の食感 老舗の絶品和菓子
東町温泉から車で約5分。松原公園近くの「稲荷餅屋荒巻商店」は100年以上続く老舗和菓子店。3種類ある石垣餅(100円)は幅広い世代から人気。あんなしや黒糖もあり、サツマイモの程よい甘さと餅の食感が調和して絶品。赤飯(370円)や赤飯三角(120円)は昼時に購入する人が多く、小腹を満たしてくれる。
手作りのどら焼き(150円)は隠れた人気。4代目の荒巻秀幸さん(47)は「使う小豆は全て北海道産」と素材にも手を抜かない。問い合わせはTEL0977・23・2534。