鬼石の湯 地獄の後は極楽へ
別府市の九州横断道路(国道500号)を海側から別府インターチェンジ方面に進むと、泉都が誇る観光名所「地獄」の数々が見えてくる。鉄輪の「鬼石の湯」は海地獄と鬼石坊主地獄のすぐそばにある。
のれんをくぐると木々に囲まれた静かな空間が広がり、にぎやかな観光地の一角にあることを忘れさせる。男女別に内湯と展望風呂、露天風呂が楽しめる。源泉掛け流しだが「日替わりでどこかは少しぬるくしている」という。観光客が多い鉄輪ならではのうれしい気遣いだ。
泉質はナトリウム塩化物泉で肌に優しい。滑らかで、無色透明の湯が特徴。保湿成分を表すメタケイ酸の数値が高いため、風呂から上がった後は肌がすべすべになるうれしい効果も。
2階にある展望風呂に上がると、高台からの景色が楽しめる。新緑や紅葉の季節には森林浴の気分を味わうことができるため、常連客、観光客問わず大人気だ。
娘の茉那ちゃん(1)を連れてよく訪れるという同市内の介助職高橋明日香さん(40)、友人の大木恵美子さん(52)は「景色を楽しめるし、子連れにとても優しい。友人にも薦めている」。軟らかい泉質は幼児でも安心して入浴でき、女湯の脱衣所には授乳室やベビーベッドがある。家族湯もあり、親子で日頃の疲れを癒やせる安心スポットだ。
これから紅葉がきれいな季節。地獄めぐりを楽しんだ後は、家族でゆったり温泉に漬かって極楽気分を味わってみては?
( メモ //) 営業時間は午前10時~午後10時。定休日は第1火曜日。入浴料は中学生以上620円、小学生300円、幼児200円、2歳以下無料。家族湯(1時間、4人まで)は2千円。家族湯の予約は受け付けていない。問い合わせは鬼石の湯(TEL0977・27・6656)。
一口サイズの極楽饅頭 温泉蒸気で蒸した優しい味
鬼石の湯から徒歩で5分、海地獄入り口横にある「極楽饅頭(まんじゅう)」。創業64年の老舗だ。地獄めぐりを終えた観光客が買い求めるのは店名にもなっている一口サイズの極楽饅頭(24個入り、640円)。地獄内にある蒸し器で約100度の温泉蒸気を利用して蒸す。蒸気に入った塩分とこしあんがマッチした優しい味が人気。副店長の花木翔兵さん(30)は「気軽に食べられるのが魅力」と笑顔。秋限定で芋あんも販売している。
営業時間は午前8時~午後5時。休みは海地獄に準ずる。問い合わせは同店(TEL0977・66・0121)。