新湊温泉 軟らかな湯、体ツルツル
大分市生石の国道10号を車で走行中、よく目にしていた「新湊温泉」の看板。歴史を感じるたたずまいにこれまで二の足を踏んでいたが、一度立ち寄れば人情味あふれる出迎えと、上質な湯が待っていた。
温泉を営むのは白石哲哉さん(76)と君子さん(79)夫婦。夫婦の不在時は子供らが手伝いに来るなど、年中無休だ。毎日、夕方から番台につく君子さんは常連客には親しみを込めて接し、初めて訪れた県外客らには「大分で良い思いをして帰ってもらいたいから」と菓子などを振る舞い、笑顔で迎えてくれる。
源泉掛け流しの単純温泉。植物由来の有機物が溶け込んだ赤褐色の湯色が特徴で、洗い場には飲泉用のコップもある。「ここの湯はとても軟らかく、体がツルツルになる」と教えてくれたのは30年以上通う近くの佐藤秀富さん(68)。1年前から訪れている穐田修さん(57)も「この1年、風邪をひいていない」とうれしそうに話した。
共同温泉は8人も入れば「満員状態」に。サウナは順番待ちになることもある。30分700円から利用できる家族湯は、家族連れはもちろん1人でゆったりと漬かるのもお勧めという。
店の後継者はおらず、「高齢だし、これまで何度も店じまいを考えた」と君子さん。それでも利用者から存続を求められ、続けてきた。「お客さんの笑顔に何よりも元気をもらっているからね」と話す笑顔に、逆に元気をもらった。
(メモ)
年中無休。営業時間は正午~午前0時。入浴料は中学生以上300円、小学生200円、乳幼児100円。家族風呂は30分700円から。せっけんやドライヤーなどは番台で借りられる。問い合わせは新湊温泉(TEL097・537・8800)。
どれも食べたい! 季節に合った焼き菓子
新湊温泉から徒歩3分の洋菓子店「ベイクショップバイザベイ」。店長の桜井亜依さん(30)が菓子を作り、母の美恵子さん(59)は店内を装飾したり、手作りのリースを販売している。
看板商品は季節の果物や花などを材料にした焼き菓子。キャラメルバナナマフィン(380円)など種類豊富で、どれも風味豊かで癒やされる。亜依さんは「毎日、季節に合った新しい商品を出せるよう心掛けています」と話す。
営業時間は午前10時~午後6時。定休日は火曜日。問い合わせは同店(TEL097・507・7142)。