いかりやま温泉 知る人ぞ知る名湯
大分市中心部から明野方面に向かって滝尾橋を渡り、下郡バイパスを南下。細い道に入って同市片島の静かな住宅街に入ると、オレンジ色の建物が目を引く。知る人ぞ知る名湯「いかりやま温泉」だ。
いかりやま(碇山)は、大分県で最も低い山とされ、滝尾地区のシンボル。源泉掛け流しの泉質はナトリウム炭酸水素塩泉で地下約670メートルからくみ上げている。温泉をこよなく愛する常連客は「お湯がとても軟らかい。肌がつるつるになる」と口をそろえる。
午後2時半の一番風呂を狙って取材すると、常連さんたちがいた。週に3、4日は訪れるという村上弘一さん(69)=同市津守=は「やっぱり自宅の風呂とは違いますよ。泉質がいい」と気持ち良さそう。10年近く通っている青果店主の池永正司さん(76)=同市下戸次=は「知人から教えられたが本当にいい温泉。他の常連客と話すのも楽しみの一つ」と、客同士の距離が近いのも魅力のようだ。家族湯もあり、子ども連れでもゆっくりと楽しめる。
オーナーの大本卓さん(63)は元カメラマン。同温泉の常連客だったが、14年前に閉店話を聞き、「自分の好きな温泉をつぶしたくない」と一念発起。建物と権利を買い取って自ら経営すると決めた。温泉をきれいに保つ掃除の仕方を尋ねると、にこにこと丁寧に教えてくれた。
「ゆっくり、のんびり楽しんでいってくださいね」 ちょっとした心遣いも温泉愛にあふれている。
(メモ/)「いかりやま温泉」は大分こども病院から徒歩5分。営業時間は午後2時半から午後10時半。入浴料は中学生以上380円、小学生150円、幼児50円。家族湯は1時間1200円。定休日は第1火曜日。問い合わせは同温泉(TEL097・569・5648)。
パリパリ焼きそばに卵 幅広い世代が楽しめる
いかりやま温泉から車で約5分。下郡バイパス沿いの「キッチンわたなべ」がお薦め。オムライス(700円)、カツ丼(650円)、カレーライス(600円)などメニューは豊富。家族連れからサラリーマンまで、幅広い世代で食事を楽しめる。
「目玉焼きそば」(750円)は絶品で、パリパリの日田風焼きそばに半熟の黄身が絡む。焼きそば、鳥天、唐揚げから選べるセットもうれしい。オーナーの渡辺英輝さん(56)の人柄も料理の味を引き立てる。問い合わせは同店(TEL097・567・7400)へ。