下郡温泉 家族湯など気楽に
大分市の下郡工業団地の一角を通るたび、ずっと気になっていた看板がある。道沿いの2階建て建物に据え付けられた赤い看板に躍るのは、「下郡温泉」(下郡)の白文字。長年の好奇心を満たすべく、足を踏み入れてみた。
昔ながらの番台を横目に湯気で満たされた浴室に入ると、かすかに硫黄の香りが漂う。一度に5、6人が漬かれる浴槽には、うっすらとコーヒー色をした湯が掛け流され、ほんの少しぬめりがあり肌触りが心地よい。壁には往年の銭湯を思わせるような鮮やかなペンキ画が飾られ、気分を盛り上げてくれる。
近くに住む木原芳美さん(69)は、家族で通う常連客。「ここはお湯が気持ちいい。家族湯もあるし、気軽に来ている」と上機嫌に話す。
一緒に温まった孫の盟尊(めいと)ちゃん(6)も「家のお風呂より広くてうれしい。初めてサウナに入ったら、もっとポカポカした」と満面の笑みを見せた。
熱帯魚の養殖用に掘った温泉を転用し、1982年にオープン。当時は市中心部の温泉は珍しく、最盛期には1日に200人以上の入湯客でにぎわったという。宮崎奉治(ともはる)社長(70)は「スーパー銭湯ができてお客さんは減ったけど、お湯がいいから今も続いている。『あちこち通ったけど、やっぱりここがいい』と言われるとうれしいですね」と目を細めた。
( メモ //) 営業時間は午後2時~同10時。入浴料は中学生以上380円、小学生150円、未就学児70円。男湯女湯ともに浴室内にサウナ(定員2人)と水風呂がある。家族風呂は30分ごとに500円。駐車場あり。問い合わせは下郡温泉(TEL097・569・2848)。
ひと手間がうれしい 数量限定のシュークリーム
下郡温泉から車で5分ほど。下郡小学校の南に面した「グランエポック」(下郡中央)は、2001年開業の人気洋菓子店。オーナーシェフの後藤勝利さん(54)ら4人のパティシエが腕を振るう。
看板商品は、数量限定のシュークリーム(194円)。その場でシューをカットし、カスタードクリームを詰めてくれるひと手間がうれしい。カボチャのプリン(540円)と果物たっぷりのフルーツショート(648円)にも根強いファンがいる。
木曜定休。営業時間は午前10時~午後8時。問い合わせは同店(TEL097・569・9200)。