うすき薬師の湯 心身癒やす“ぬるみ”
臼杵市深田の国宝臼杵石仏の近くに、「仏さま」が導いた数奇な由来を持つ温泉がある。
東九州自動車道臼杵インターチェンジを降り、野津町方面へ国道502号を進んだ左手の路地を入ると、日本家屋風の立派な建物が現れる。「うすき薬師の湯」は宿泊や飲食も楽しめる「臼杵湯の里」の一施設だ。
薬師の湯は、支配人の山下宣彦さん(41)の父・政治さん(68)が金色の光が輝く夢を3度見たことに始まる。政治さんが知人に相談したところ、「薬師如来が臼杵に温泉を掘るよう言っている」と詳しい場所を含めて助言。地下1300メートルから天然温泉を掘り当てたという。
おとぎ話のような物語に胸を躍らせながら館内へ。エレベーターで3階に上がると、開放的な大浴場が迎えてくれる。薄緑の湯は、独特のぬるみがあり、肌にしっとり浸透するようだ。泉質はナトリウム塩化物泉で、水素イオン指数(pH)は8・3。神経痛や冷え性、慢性消化器病などに効能があるといい、何ともありがたい。
自慢の露天風呂は通常、女性専用。岩石を自然のままに取り込み、20畳弱のスペースを雄大な景色とともに味わえる。常連で市内の安東克己さん(68)は「ぬるぬるした湯が心身を癒やしてくれる」と上機嫌。
山下支配人は「臼杵に温泉があることを知らない人も多いが、ぜひ一度足を運んで素晴らしさを体感してほしい」と話す。
70体の仏像を展示した「大仏殿」も必見だ。
(メモ//) 年中無休。営業時間は午前10時~午後11時。入浴料は中学生以上500円、小学生以下300円。家族風呂は60分2千円。宿泊や食事を組み合わせたさまざまなプランがある。問い合わせは臼杵湯の里(TEL0972・65・3711)。
あんが「たっぷり」 ほどよい甘さが絶妙
うすき薬師の湯から車で3分ほど。「高進堂」は臼杵市民から愛される老舗の和菓子店だ。3代目の高橋睦男さん(70)が丹精込めた品々を手作りしている。
名物は北海道産の大納言を使ったあんをたっぷり挟んだどら焼き(160円)。しっとりとした生地とほどよい甘さが絶妙で、土産物としても喜ばれる。市内外にファンがおり、午前中に売り切れることも。石仏まんじゅう(90円)や栗まんじゅう(同)なども人気だ。
年中無休。営業時間は午前6時~午後10時。問い合わせは同店(TEL0972・65・2421)。