すじ湯温泉 乳液?肌がすべすべに
冬も目前、朝晩は肌寒く感じる季節になった。冷たくなった体を温めようと、車を走らせ、たどり着いたのは別府市井田の「すじ湯温泉」。伝統ある鉄輪温泉街の一角にある。周囲は至る所で湯気が立ち上り、風情ある建物が並ぶ。
昭和初期に開業したが、経営難から2015年11月に一度は閉鎖した。地区内外から惜しむ声が寄せられたことを受け、地域住民が新しい運営団体「鉄輪すじ湯倶楽部」を設立。掃除や補修をして準備を整え、16年4月に営業を再開した。
入り口で、まず目に入るのはさい銭箱。番台はおらず、入湯料100円を入れるのが決まりだ。造りは湯船一つといたってシンプル。温度調節のための水道がないため、湯は42度前後あり、「のぼせないように脱衣場のベンチで休憩を取りながら漬かるのがいい」と後藤一行同倶楽部組合長は話す。
泉質は塩化物泉で、無色透明。乳液のようなどろっとした湯が特徴だ。1週間に3日は訪れる近くの会社員浅井義彦さん(59)は「温泉が体に絡み付き、肌がすべすべになる。ほら、年齢より若く見えるでしょ」と頬をつついて見せてくれた。
神経痛や腰痛にもよく効くと、昔から湯治客が訪れる。うわさを聞き、8年前から足を運ぶ佐伯市上浦の坪根栄一さん(74)は「10分入れば、体の芯から温まる」と笑顔を見せた。
湯船に漬かれば、源泉100%の温泉と常連客の気さくな声掛けに心身ともに癒やされる。
( メモ //) 営業時間は午前6時半~午後8時。入湯料は100円だが、「鉄輪すじ湯倶楽部」運営のための支援金を出しているホテルの宿泊者が浴衣を着て訪れると無料で入浴できる。シャンプーやせっけんは使えない。5分ほど漬かって脱衣場のベンチで休憩―を繰り返すのがお勧めという。
旬の素材、たっぷり 「健康的」がうれしい
「すじ湯温泉」から徒歩で約2分の「ここちカフェむすびの」。築100年以上の建物は、温泉街の景観とよく合っている。
1番人気の「むすびのランチ」(1080円)は週替わりのメニューで、取材に訪れた日は豚の天ぷらがメインの定食。「旬の野菜や果物をふんだんに使うのがこだわり」と店長の河野健司さん(57)。素揚げや素材の味を生かした健康的な料理は、どこか懐かしさが感じられる。
毎週木曜日と第2、4水曜日が定休。問い合わせは同店(TEL0977・66・0156)。