御宿 温泉閣 古き良き湯治場の風情
鉄輪温泉発祥の地、寺境内に
暖かな陽気と、あちらこちらに立ち上る湯煙に誘われて、別府市が誇る温泉郷・鉄輪温泉へ。情緒ある街並みを歩くと、旅をしているようで心が躍る。
いでゆ坂に位置する温泉山永福寺境内にある「御宿 温泉閣」(同市風呂本)。3代目主人の河野忠之さん(75)、おかみの英子さん(68)夫婦が気さくにもてなしてくれた。家族で営む温かな雰囲気が魅力の一つで、湯治の風情を今に残す。
永福寺は鉄輪温泉を開いたとされる時宗の開祖、一遍上人のために豊後大友氏が建立した松寿寺が前身。温泉閣は明治時代に再興された永福寺の宿坊として始まった。鉄輪温泉の発祥の地と知り、期待は大いに膨らむ。
男女別に露天と内風呂がそれぞれあり、源泉掛け流しが基本。希少価値の高い弱酸性の湯で、高濃度のナトリウムや塩化物を多く含む。忠之さんは「ここは薬湯。他の温泉地に行くと違いが分かるんですマイルドで美肌効果も高いとか。英子さんも「健康な体だと分からないかも。年中無休で働いていますから、ここの温泉の良さは私が一番知っています」と話す。
宮崎県日向市から10年以上通う常連客、三浦政久さん(60)=自営業=は「体や心が疲れたときに訪れる。しっかり温まるし、ご家族のお人柄も良くて」。湯上がりの顔はつややかだ。
実は忠之さん、俳句を通じて鉄輪の発展のために尽くす人物でもある。「鉄輪愛」は宿の魅力にもつながっている。
(メモ//) 立ち寄り湯の営業時間は午前10時半~午後2時半(受け付けは午後2時まで)。年中無休。入浴料は大人500円、小学生以下300円。問い合わせは「御宿 温泉閣」(TEL0977・66・1767)。
噴気で蒸した「最高プリン」 5種類、安心できる素材で
「御宿 温泉閣」で提供するプリンは、敷地内の温泉の噴気で蒸したここでしか味わえない逸品だ。
自家製のエスプレッソソースをかけた「琥珀(こはく)」(500円)、ほうじ茶ソースの「香」(700円)など5種類がある。
河野さん夫婦の長男史郎(ふみお)さん(40)とプリン好きの友人が「最高のプリンを作ろう」と長い年月をかけて開発した。安心できる素材を吟味し、調理方法や味を徹底的に追求した。
「凸凹プリン」としてシリーズ化しており、プリン目当ての常連客もいる。瓶入りは持ち帰りができる。