湯平温泉「銀の湯」 軟らかく美肌に効果
湯治場として長い歴史がある由布市湯布院町湯平の湯平温泉。風情ある石畳の入り口に共同浴場「銀の湯」はある。以前は長期滞在の湯治客が利用していたという古くからのファンが多い温泉だ。
「五つの共同浴場のうち、銀の湯だけ源泉が違います。保湿成分のメタケイ酸が多く含まれているので美肌の湯と呼ぶ人もいるんですよ」。湯平温泉観光協会の国枝由紀子さん(39)が教えてくれた。
泉質はアルカリ単純泉。透明で香りはほとんどなく、刺激のない優しい肌触りをしている。地元の人が毎日、当番制で清掃をしている木造の湯船や脱衣所はよく手入れされ清潔。居心地のよい、くつろげる雰囲気が漂っている。
ほとんど毎日入りに来る由布市庄内町の土屋成八郎さん(76)は「お湯が軟らかいから気持ちがいい。おかげであんまり風邪をひかんよ」と話す。
大分市の池田正三さん(67)も常連の一人。陸上の長距離に打ち込んでいた若い頃は湯平まで走った後、お湯に入ってリフレッシュすることもあったという。「田植えを終えた祖父母が、湯平に湯治に行くことを年に1度の楽しみにしていたのも思い出しますね」と昔を懐かしんだ。
人々の疲れを優しく癒やす銀の湯の“効能”は昔も今も変わらないようだ。
(メモ//) 営業は午前6時~午後9時半。入浴料は200円。名前の由来はその昔、近くを流れる花合野(かごの)川の河原にあった頃、湯の中の温泉成分が銀色に輝いて見えたからともいわれている。問い合わせは湯平温泉観光案内所(TEL0977・86・2367)。
もっちりとした食感 素朴な味わいが人気
銀の湯から石畳の坂道を上るとすぐに「おきぱん」が見えてくる。近くで旅館を営む右田雅美さん(43)が趣味のパン作りの腕を生かして開店した。塩味の付いた生地であんことバターを包んだ塩バターあんパン(180円)など素朴な味の商品が人気だ。「湯平の水を使って生地を仕込んでいる。もっちりとした食感が特徴です」と話す。営業は午前8時~正午(売り切れ次第終了)。定休日は水、木曜日。