橋本温泉 古き良き面影、今も
古き良き面影、今も 地域住民が支える「社交場」
古くから湯治客を癒やしてきた由布市湯布院町湯平の湯平温泉。国道210号から山あいの温泉街に車を走らせると、五つある共同浴場で最初に出迎えてくれるのが「橋本温泉」だ。
大正時代に造られ約100年の歴史を持ち、住民や湯巡りを楽しむ観光客に愛されている。2007年に古くなった建物や浴槽をリニューアル。木造平屋で外観は茶色を基調にし、浴室の内装は木をふんだんに使っている。素朴で温かみを感じさせる。
地区の共同浴場の中で最も浴槽が広く、高い天井は開放感を味わえる。湯船は板で二つに仕切られ、「熱め」と「ぬるめ」に分かれている。源泉掛け流しで泉質は弱食塩泉。滑らかな肌触りで透明無臭に近い。
夕暮れが近づくと顔なじみが集まり始め、地域の社交場に姿を変える。近くの小野喜一郎さん(83)は「時間帯で顔を合わせる人が決まっている。温泉での会話は楽しみの一つ」。
市外からたびたび訪れるリピーターもいる。大分市内の主婦(62)は「昔懐かしい雰囲気をゆっくり味わえるのが魅力」と太鼓判を押す。
住民は利用するだけでなく、交代で清掃するなど大切に維持してきた。近くで商店を営む金子裕次さん(69)は「市外から楽しみに来る人も多く、みんなが気持ち良く使えるようにしたい」と笑顔を見せた。古き良き時代の面影を残す温泉を守る地域の思いが伝わってくる。
( メモ //) 営業時間は午前6時~午後9時。無休。入浴料200円。主な効能は神経痛、筋肉痛、関節痛など。車で訪れる場合は、近くにある温泉街共同の無料駐車場を利用できる。問い合わせは、湯平温泉観光案内所(TEL0977・86・2367)。
農園産トマトのアイス 甘味の中に酸味、夏にぴったり
湯平温泉街の石畳通りにある「喫茶リモージュ農園」。由布市挾間町でトマトやハーブを生産する同農園が昨年開店した。飲み物やスイーツを提供しており、「市内の産品を多く材料に使っています」とマスターの浜原健さん(40)。
お薦めはフルーツトマトのアイス(150円)。甘味の中に酸味がある。シソやイチゴのソーダ(各400円)、きなこ大麦グラノーラのミニパフェ(350円)も夏らしいメニュー。営業は金~月曜日の午後2時~同7時。問い合わせは浜原さん(TEL090・2857・2458)。