湯屋 天音 自然の恵みに包まれて
柔らかいお湯だ。手足を伸ばして目を閉じる。川のせせらぎ、鳥のさえずり、木々を揺らす風の音―。ぜいたくな気分に包まれ、思わずつぶやいた。「あー幸せ」
竹田市久住町栢木(かやぎ)に昨年12月オープンした「湯屋(ゆや) 天音(あまね)」。長湯温泉(直入町)に近い芹川沿いにひっそりとたたずんでいる。
“湯守”の秋吉潤さん(44)は元長湯郵便局長。前身の「あすかの湯」が2015年末に閉館となり、引き継ぎ手を探していることを知った。「地域の湯を守りたい。自分がやらなきゃ誰がやる」。約20年勤めた郵便局を退職し、自力で施設や庭の修繕、改装を進めてきた。受付では、妻の幸絵さん(38)と生後2カ月のシバイヌが客を出迎える。
男女の大浴場、全8室の貸し切り湯いずれも内湯と露天風呂を備える。源泉掛け流しで加水も加温もなし。泉質は長湯温泉と同じ炭酸水素塩泉だが、美肌成分ともいわれるメタケイ酸を多く含んでおり、肌にしっとりなじんで潤いを与える。
夫婦で週1、2回訪れている豊後大野市三重町の川辺国夫さん(80)は「あちこち入ってきたけど、ここが一番。体の凝りがほぐれて疲れがようとれるわ」と太鼓判を押した。
夕暮れ時、露天風呂にランプの明かりがともる。「晴れた日は星空を眺めながらの入浴。最高ですよ」と秋吉さん。天音の意味は「天の恵みの音」。かなたから降りそそぐ星の声に耳を澄まそう。
地元野菜たっぷり チキン南蛮、手ごねハンバーグ…
湯屋天音から車で約10分の「日乃出食堂」。竹田市久住町の福祉農場コロニー久住直営で、地元の新鮮野菜をふんだんに使って手作りした定食、総菜が味わえる。
定食は日替わり(648円)、チキン南蛮(756円)、ふわふわ手ごねハンバーグ(864円)など。ランチタイムには野菜の煮付け、酢の物など20種類近い総菜が無料で付く。
火曜定休。ランチ午前11時~午後3時、カフェ午後2~4時半。問い合わせはコロニー久住(TEL0974・77・2344)。
( メモ )
第2・第4火曜日定休。営業時間は午前10時~午後11時(最終受け付けは午後10時)。入浴料は大浴場が大人500円、小学生以下300円。貸し切り湯は50分2千円、80分3千円。問い合わせは湯屋天音(TEL0974・77・2620)。