激しく燃える建物=18日午後8時51分、大分市佐賀関
海沿いの町が激しい炎にのまれた。18日に大分市佐賀関で発生した大火は、風向きがたびたび変わり、避難先となった公民館にも迫るほどだった。「こんな火事は見たことがない」。赤く染まった空の下、住民は着の身着のままで安全な場所を求めて移動し、ぼうぜんとしていた。
大きな火柱が家屋の屋根より高く上がり、「パチパチ」と火の粉を上げて建物を燃やした。時折、何かが爆発する不気味な音が響き渡り、辺りは焦げた臭いが立ちこめた。
けたたましいサイレンを鳴らして集まった消防車は計16台以上。隊員たちはポンプでくみ上げた大量の海水も浴びせたものの、火の勢いは収まらずどんどん延焼した。
「家の前が真っ赤になり、最初は夕焼けかと思った。異様な明るさで、外に出たら火の塊が見えた」。無職の男性(80)は自宅近くの田中公民館に逃げたが、火の手が迫り、佐賀関市民センターに退避した。
同センターに身を寄せた住民は180人を超え、待合室や研修室で不安な夜を過ごした。医療機関や市から職員が駆けつけ、毛布を配り、簡易ベッドを設置した。
無職の男性(75)は「この辺りは漁師町で、今は空き家がほとんど。今日は風が強く、燃え広がるのはあっという間だった」と話した。
別府市の無職女性(62)は出火当時、被災地域で1人暮らしをしている母親と共に外出中だった。
火事の知らせを聞き、実家に戻ろうとしたが、途中で警察に止められたという。「仏壇の位牌(いはい)だけでも持ち出したいと思ったが、残念でならない。母が無事でよかったけど、思い出の詰まった実家が…」と声を落とした。