熟し過ぎて収穫できないトウモロコシを持つ卯野英治さん。周囲には枯れて茶色い畑が広がる=6日、竹田市菅生
大分県内は厳しい暑さと少雨が続き、農作物の生育に影響が出ている。竹田市では特産のトウモロコシが育ち過ぎて収穫が追い付かず、大量の廃棄処分が発生。コメ農家はダムの放流制限が始まった地域もあり、水の確保に頭を悩ます。7日は雨が降ったものの「まとまった量が降ってくれないと稲が持たない」と、今後の天気に気をもんでいる。
強い日差しが照りつけた6日、竹田市菅生の畑には枯れて茶色くなったトウモロコシが放置されていた。40ヘクタールで栽培する卯野農場はこの夏、およそ10ヘクタール分・30万本の廃棄を余儀なくされたという。
県内は観測史上最も早い6月27日に梅雨明けし、同市では7月の雨量が111・5ミリと平年の36%しかなかった。「予想以上の晴れ続きで成長が早く、収穫ペースが追い付かず熟し過ぎてしまった」と卯野英治代表(77)。
例年は豪雨や台風、病害虫などで4~5ヘクタールの被害を見込んで多めに作付けするが、廃棄する量は既にその2倍。「天気相手だから仕方ないけどショックだ」とため息をつく。
コメ農家は水不足に苦しむ。
宇佐市の今仁(いまに)地区は、日出生ダム(玖珠町)から農業用水を引く水路の最下流付近に位置する。ただでさえ田んぼに届く水が少なくなっていた上に、今月4日からはダムの放流制限も始まり、田にはひび割れが目立ち始めた。
7日は雨が降ったが、田を潤す状況には程遠い。地元の産山山池水利組合長、今仁俊朗さん(70)は「ため池や地下水で賄うのも限界がある。継続的に降ってくれなければ、いよいよ厳しくなる」。下今仁区長の今仁興東昭(ことあき)さん(82)は「収穫量も品質も心配。安くておいしいコメを届けたいのに」と話す。
県は7月29日から少雨(渇水)対策連絡室を設置。中津、杵築、臼杵の3市も対策本部などを設けている。県の振興局にある生産者向け相談窓口には、これまでに支援策などを聞く相談が4件あった。
大分地方気象台によると、県内は9日から11日にかけて雨になり、それ以降は晴れや曇りの日が多くなる。厳しい暑さは続く見通し。
県連絡室は「今後も気象による被害は予断を許さない。支援策や技術指導など心配があれば相談してほしい」と呼びかけている。