おおいた温泉道 秋元義之さん 佐伯市直川かぶとむしの湯
「おんせん県おおいた」といえど残念ながら佐伯市には「温泉」がない。あるのは冷鉱泉や海水を沸かした施設が数カ所だけ。中でも肌や腰痛にいいと評判の鉱泉センター直川「かぶとむしの湯」は県内外から入浴客が訪れる人気施設だ。
オープンは1995年。泉質は単純冷鉱泉。自然豊かな直川はカブトムシで売り出し中。近くに大きなモニュメントもあることから、昨年、愛称を「かぶとむしの湯」と名付けた。
「こんなにいい湯が、こんなに近くにあるなんて灯台下暗しだった」と話すのは秋元義之さん(78)=同市直川横川。1年ほど前にリウマチを発症した。「温めたり冷やしたりして血行をよくすればいいらしい」と本で読んだ。「治療になるかも」と思い、医者に内緒で近くのかぶとむしの湯に通い始めた。温泉好きで以前は別府市や竹田市の温泉を巡ったが、最近はほとんど行かないという。
「施設内に温泉と冷泉、電気風呂、泡風呂、サウナといろいろな種類があるのがいい。疲労回復にもなり、筋肉が柔らかくなる。そこがいいですね」。頻繁に通ううちに手足のむくみが取れ、リウマチの症状も和らいだ。
当初は毎月通っていた病院は2カ月に1回のペースに。「他の人には分からないが、私には効果があった。完治は難しい病気なのに数値的には平常値に戻り、これには医者もびっくりしていた」
毎回、いろいろな種類の湯を計1時間半ほどかけて漬かり、“治療”に専念する。常連客同士で世間話をするのも楽しみだ。
リウマチの影響でうまくものをつかめず、腕が上がらなくなって大好きなゴルフから遠ざかっていたが、「いつでもゴルフに行ける状態になった。かぶとむしの湯さまさまです」。
データ:午前10時~午後9時。木曜休館。大人500円、小中学生300円。毎月第3月曜~第4日曜は併設レストランで千円以上の食事をすれば入浴無料。TEL0972・58・3311。
秋元義之(あきもと・よしゆき)佐伯市直川出身。県外の銀行に就職したが、先祖から受け継ぐ山や田を守るため地元に戻り、佐伯市森林組合(現佐伯広域森林組合)に勤務。役員まで務めた。