おおいた温泉道 岡村正治さん 丹生温泉
「今日もいい湯やった。天気のいい日は露天風呂が最高やなあ」。夕方になると「丹生温泉 和みの湯」=大分市丹生=にやってくる近所の岡村正治さん(79)が、この日も満足そうにのれんの奥から出てきた。2005年のオープン当時からの常連で、地域の交流拠点となった施設を見守ってきた。
自然に囲まれて開放感と清潔感があり、初心者でも入りやすい温泉だ。湯は透明で滑らか。掛け流しの音と鳥のさえずりが心地いい。泉質はナトリウム塩化物炭酸水素塩泉。皮膚の乾燥症や切り傷、末梢(まっしょう)循環障害などに効能があるとされ、体の調子が良くなったとリピーターになる人が多いという。本年度、九州の温泉名人たちが選ぶ「九州八十八湯めぐり」の対象施設に初めて登録された。
温泉は東部清掃センターの建て替えに伴う地域振興策として03年に市が掘削し、地下千メートルで掘り当てた。「温泉といえば別府や湯布院が有名で、まさか丹生で湧くとは思わなかった」と興奮気味に振り返る。丹生地区の自治委員をしていたオープン当時、植樹をしたり竹灯籠を並べたりして雰囲気づくりに一役買ったという。
11年間通い続け、「どんな日も体の疲れを癒やしてくれた。風呂の風合いが増してきたなあ」としみじみ。湯上がりは玄関のベンチに腰掛け、施設を管理している市福祉会のスタッフや顔なじみと5分ほど世間話をしてから帰るのが決まりだ。「初めて来た客から泉質を褒められると、誇らしい気持ちになる」と顔がほころんだ。
若い頃から温泉が好きで「運動の後にさっぱりしたり、みんなとわいわい入ったりするのが楽しい」という。近所の人と一緒に他の温泉に遊びに行くこともあるが、「やっぱりここがいい。心が和む」と太鼓判を押した。
おかむら・まさはる 大分市出身。県庁を退職後、建設会社に12年間勤務。同市丹生地区の自治委員や丹生校区振興会の理事を務め、地域の発展に尽力。現在は同会顧問。
営業は正午~午後9時まで(受け付け終了は同8時半)。毎月第2水曜日は休み。12歳以上300円、6~11歳140円、5歳以下70円。回数券もある。TEL097・522・1610。