おおいた温泉道 石井仁さん 竹田市久住町・白丹温泉ふれあいの湯
くじゅう連山の頂が今年初めて雪化粧した11月中旬、ススキが揺れる久住高原から熊本県境に向けて車を走らせた。竹田市久住町白丹にある「白丹温泉ふれあいの湯」は、地元住民が健康づくりと憩いの場をつくろうと寄付を集めて泉源を掘り当てた。地域コミュニティーの拠点となる温泉は2001年にオープンした。
「本当にホッとする。まさに“ホッとスプリング(温泉)”だ」。全国や世界から集まったニュースを配信する共同通信社の本社(東京)から2013年3月に大分支局長に着任した石井仁さん(50)。湯船に漬かり、ひと息つくと表情が柔らかになり口が滑らかになった。窓ガラス越しに見える久住山や稲星山の姿に迎えられたような気持ちになったのだろう。
大分に赴任後、休日になると、県内各地の温泉巡りを楽しみにしている。別府八湯温泉道名人の称号も1年2カ月ほどで獲得した。温泉好きと知った知人から紹介されたのが「白丹温泉ふれあいの湯」だった。
山あいの静かな場所にある品の良い建物が白丹温泉の目印。泉質は炭酸水素塩泉。源泉温度は43・5度。微弱黄色で無味無臭。まだ訪れて数回だが「お湯が本当に優しい。体をパーッと包む感じ。肌に合うんだよね」。木をふんだんに使った建物から醸し出される雰囲気も気に入っている。
大分支局着任前は、大阪支社、東京本社で現場の記者が書いた原稿をチェックする“デスク”稼業。都会のビル街の中で、文字通り、神経をすり減らしながら机にあるパソコン端末に向かう毎日だった。それだけに、解放感と優しさが同居する温泉が特に気に入っているという。
「大分のおいしい海の幸、山の幸を味わいながら、温泉道をもっと楽しみたい」。
いしい・ひとし 共同通信では大半を経済部に所属。名古屋、大阪、東京などで勤務。別府八湯温泉道は名人。東京都生まれ、自宅は埼玉県にある。単身赴任で大分市内に暮らす。
午後1時半から同9時半まで入浴できる。小学生以上300円。身障者用の内湯もある。休日は第3火曜日。問い合わせは☎0974・76・2226。