おおいた温泉道 大浦夫妻 別府市北浜・加賀屋
温泉好きが高じて3月に埼玉県から別府市に引っ越してきた画家の大浦利昭さん(57)=東京都出身=と妻のルミさん(52)=埼玉県出身=。夫婦のお薦めは市内北浜の「別府のお宿加賀屋」の岩風呂。「最近は同じような造りの温泉が増えているが、昔ながらの風情で少しミステリアスな別府の雰囲気が残るここが大好きなんです」と話す。
泉質は炭酸水素塩泉。地下約300メートルからくみ上げた源泉をタンクにためずに、そのまま湯船に注ぎ込む。このため、湧出口から「ゴボッゴボッ」と間欠泉のような音を立て、絶え間なく湯が噴き出る。「音がいいんですよ、これぞ温泉って感じがするでしょ。ガツンとくる力強さを感じる泉質もいい」と利昭さん。
加賀屋代表の曽我大一郎さん(39)は「海沿いの温泉にもかかわらず、塩分より水素の濃度が高いのは珍しい。水素濃度が高いので肌がすべすべになる“美人湯”ですよ」と説明する。
利昭さんが初めて別府を訪れたのは40年以上前の中学時代の修学旅行。1997年に久しぶりに別府を訪ねた時、変わらない雰囲気と温泉の癒やしに魅せられ、毎年訪れるようになった。2001年から温泉名人の挑戦を始め、利昭さんは8年、ルミさんは14年かけて念願の名人の称号を獲得した。
温泉への愛は日増しに強くなり、温泉のある毎日を過ごそうと同市に移り住んだ。移住を機に、利昭さんは青春時代に没頭した絵の制作活動を再開。初めての個展を開くまでに作品はそろった。ルミさんは働きながら、温泉を楽しむ毎日を過ごす。
「温泉は自然の恵みを肌で感じることができる。日常生活の中に自然と温泉があり、毎日湯あみができる別府は特別」。別府八湯温泉道の2巡目制覇を目指し、2人は今日も湯煙の街を歩く。
データ
立ち寄り湯の受け付けは午前11時~午後4時。料金は中学生以上500円、小学生250円、未就学児無料。利用時間は1時間が目安。TEL0977・75・7224。
おおうら・としあき るみ 利昭さんは別府市内の風景や温泉場などの油絵を描いている。ルミさんは市内の旅館で働く。地元の共同温泉の組合にも入り、温泉ざんまいの生活を送る。