おおいた温泉道 冨高和利さん 大分市松岡・希感舎
大分市松岡の宿泊研修センター「希感舎(きかんしゃ)」。2007年から大分銀行ドームなどがある大分スポーツ公園内で営業している。「スポーツ団体の合宿所」とのイメージがある一方、宿泊者以外にも開放している名物の天然温泉に通う常連客は多い。
「あー、気持ちいい。最高や」。湯船に入ると思わず声を上げた。冨高和利さん(59)=同市・会社員=もその一人だ。窓を開けると、風に揺れる木々が見え、虫の鳴き声も聞こえる。「仕事の疲れを癒やし、明日への頑張りにつながる。元日も、台風の日も来た」と顔をほころばせる。
仕事の関係で25年間、九州各県で単身赴任の生活を続けてきた。「単身赴任時代は家族に会えない寂しさを、温泉に漬かって解消していた」と振り返る。
異動で2年前から古里で勤務。現在は家族と暮らすが、「単身族の楽しみは温泉」という習慣は変わらない。5年ほど前、友人から「良い温泉があるよ」と紹介され、この穴場を知った。「お湯がきれい。浴槽も清潔感がある」と絶賛。週3回は訪れる。
湯は炭酸水素塩泉で水素イオン指数(pH)は7・6。透明で、まったりとした手触り。男湯は遠赤外線サウナ、女湯にはミストサウナがある。お年寄りが安心して座れる介護用椅子や、脱衣所に冷水のサービスコーナーを設けるなど、細かな心配りをしている。
仕事中心の生活で体調を崩したことがあり、ワークライフバランスを考えるようになった。「今の瞬間を大事に。楽しめることは楽しむ。還暦を迎える小学校時代の同級生らと連絡を取り、温泉巡りができたらいいな」。充実した表情で語った。
とみたか・かずとし 1955年、大分市生まれ。会社員。霧島温泉(鹿児島県)など九州各県の温泉巡りをした。現在は仕事やジムでのトレーニング後に通う。趣味はスポーツ観戦。
立ち寄り入浴の営業時間は日~金曜日が午前11時~午後10時、土曜日と祝日前日は午後4時まで。入浴料は中学生以上350円、小学生200円、3歳以上の幼児100円、3歳未満は無料。TEL097・524・6551。