おおいた温泉道 尾林大生さん 入舟荘
名人の尾林大生さん(36)=別府市=が3人の娘と共にゆったりと湯船に漬かる。「あー、気持ちいいねー」。子どもたちが口々につぶやく。温泉が一番の家族だんらんの場となっている。
一押しの温泉は同市鉄輪の旅館「入舟荘」。幾筋もの湯煙がモクモクと立ち上る温泉街の中にある。時宗の開祖、一遍上人が開いたと伝えられる「熱の湯」のすぐ隣だ。
二つの貸し切り湯があり、泉質は単純泉。温度は40度ほど。「あまり温度が高くなく、少し軟らかくて子どもでも入りやすい」。湯上がりの肌はしっとりとするのが特徴で「温泉効果で娘たちが美人に育つかな」と笑う。
十分な広さの駐車スペースや、脱衣所のベビーベッド、浴室内の玩具、家族連れを優しく迎えてくれるおかみ―。「小さな子どもがいる家族は温泉から遠ざかってしまいがちになります。でも、ここなら気兼ねなく、ゆっくりと温泉を楽しめるんです」
整骨院を経営しており、日々、来院者の健康と向き合う。「体を使う仕事だけど、温泉に入ると疲れがすっと抜けて健康維持に役立っている。別府で暮らしていて本当に良かったと思う瞬間です」
長女和花夏さん(9)が3歳の時に、「思い出づくりを兼ねて2人で名人になってみよう」と思い立ち、3年かけて達成した。和花夏さんと、次女穂乃実さん(6)、三女泉ちゃん(4)は、親子で市内24カ所の温泉を巡る「おやこ温泉道ちゃんぴょん」に挑戦している。
「温泉が大好き。ちゃんぴょんになりたい」と元気に話す子どもたち。「いろんな温泉を楽しめるのは、別府ならではの魅力。温泉を通じてもっと故郷を愛してくれれば」と願っている。
おばやし・だいき 別府市出身。2012年、別府八湯温泉道の名人入り。温泉道名人会の「おやこ温泉道」担当として普及活動に取り組む。ラグビーや柔道を愛するスポーツマン。
データ
家族で利用可能な貸し切り湯が二つある。立ち寄り湯は午前11時~午後3時まで。事前の問い合わせ(TEL0977・66・0655)が望ましい。料金は1時間1500円。