堤 栄一郎さん 別府市末広町・末広温泉
日常生活に根付いた誇るべき独自の文化—。言わずと知れた別府の温泉の魅力が凝縮されているのが、地域で愛される共同湯だ。「地元住民しか入れない」というイメージもあるが、堤栄一郎さん(32)=別府市竹の内=は「マナーさえ守れば、ほとんどの共同湯に入れる。ただ、ここは外から来る人を温かく迎えようという意識が特に高い」。
別府市末広町の末広温泉。2階は地区の公民館という、別府としては“普通”の区営温泉だ。2年ほど前に駐車場を整備して以降、オリジナルタオルやスタンプカードなど、観光客向けの仕掛けを次々と打ち出している。
自分で鍵を開けて入る珍しいスタイル。浴場の真ん中に浴槽だけがあり、シャワーや洗い場はない。「これぞ共同湯という典型。なめらかで肌触りが良い単純泉は本当に気持ちがよく、万人受けする」と太鼓判。「建物は年季が入っているが、1日3回掃除するので、清潔に保たれているのも魅力です」
別府市観光協会に就職した2006年春に温泉道を始めた。「県外出身なので、ちゃんと別府の温泉を知ろう」と思ったのがきっかけ。3年半かけて名人になり、09年には2巡目も達成した。「自分を温かく受け入れてくれた別府の魅力を、今度は受け入れる側で伝えたい」という思いは、温泉のように熱い。
別府の共同湯には、薬師さまがまつられているところが多い。湯上がりの家族が手を合わせる姿に感動して以来、「共同湯の魅力にどっぷりはまった」という。「何世代も連綿と受け継がれてきた歴史がある。次の世代に引き継いでいかなければ」と感じている。
今年、長女が誕生した。「少し気が早いが、おむつが外れたら共同湯デビュー」と決めている。
つつみ・えいいちろう これまでに別府で100湯以上、全国で200湯以上に入湯した。「真夏の別府観光は、温泉からの別府冷麺が一押し」。福岡県柳川市出身。
末広温泉(TEL090・5725・5215)の営業時間は午前7時〜正午、午後2時〜同10時半。一般200円、温泉道挑戦者と市在住者100円。5歳〜小学生は半額。