おおいた温泉道 後藤祥司さん 竹田温泉「花水月」
JR豊後竹田駅のすぐ近く。稲葉川沿いにある竹田温泉「花水月(はなみづき)」(竹田市会々)は2001年にオープンした市営の温泉施設だ。和風の外観が城下町の雰囲気に溶け込んでいる。地元の常連客や観光客に親しまれ、昨年度は約13万8千人が訪れた。
平日の早朝。「心に癒やしを与えてくれる、素晴らしい空間です」。後藤祥司さん(37)=市職員=が向かったのは1階にある家族風呂。午前11時以降は貸し切り湯として使う二つの浴槽を「朝風呂限定」で共同浴場に切り替え、格安で営業している。
「仕事前に入ると頭と体がシャキッとする。気合を入れたい時に入ることが多いですね」。窓から差し込む朝日を眺めながら、ゆっくりと湯船に体を沈めた。
湯はナトリウム塩化物泉。水素イオン指数(pH)8・4のアルカリ性で、まろやかな肌触りが特徴。
2階の大浴場には露天風呂やサウナ、歩行浴槽などが充実。浴室には市内の農業用水利施設「白水ダム」、「円形分水」を模した構造物があり、見た目に楽しい。大広間や軽食コーナー、特産品を取り扱う販売所、観光案内所が併設されており、竹田観光の「出発地点」としての利用も多い。
花水月の施設内にある市商工観光課で働く後藤さん。朝風呂の存在を「年齢や職種、国籍などを超えて多くの人と出会う交流の場」と表現。利用者の「生の声」が情報発信のヒントになることも多いという。
仕事柄、市内各地の温泉を訪れる機会が多く、竹田の温泉はどこも個性的で奥が深いと感じている。「温泉で有名な別府にも負けていない。花水月を拠点に、竹田の温泉名人を目指してほしい」と話した。
データ
朝風呂は午前6時~8時半。大人150円、小学生100円。大浴場は午前11時~午後10時。大人500円、小学生200円。木曜休館(祝日は営業)。TEL0974・64・1126。
ごとう・しょうじ 竹田市久住町出身。昨年度、市商工観光課に配属、「宣伝隊長」として観光振興に携わる。学生時代からラグビーを愛し、社会人チームで楕円(だえん)球を追う。