おおいた温泉道 伊津野孝さん 別府市荘園・七ツ石温泉
稲荷(いなり)神社の奥にある七ツ石温泉(別府市荘園)は、表通りに面していながら静けさに包まれた、不思議な雰囲気に満ちた共同温泉だ。九州の関ケ原といわれ、激戦が繰り広げられた石垣原合戦の古戦場の一つでもあり、赤いのぼりが立ち並ぶ境内には七ツ石の名の通り大きな石があちこちに。一番大きな石にはしめ縄が張られ、祭られている。
「温泉は気持ちいいのが一番」と言う伊津野孝さん(57)=同市=がこの温泉と出合ったのは3年前。別府八湯温泉道名人会のお掃除プロジェクトに参加した際、特典として男性は女湯、女性は男湯の一番風呂に入ったのが最初だった。「多分うちから一番近いのがここ。湯は優しく、まちなかにあるのにとても静か。戦いがあった跡で、神社の中という雰囲気もいい」とその魅力を語る。
観海寺温泉からの引き湯で、単純温泉。男・女湯それぞれに一つずつ湯船があり、無色だがお湯に入るとほのかに硫黄臭がする。「温度が高くないので疲れず長湯でき、万人受けする温泉だと思います」
7年ほど前に熊本市から別府市に移住。入浴施設の衛生管理の仕事を始めたのをきっかけに温泉道を知り、2011年に名人となった。毎日入れるわけではないが、スタンプ集めも楽しみながらすでに6巡。現在、7巡目に突入したところだ。
「自分にとって温泉とはリラックスでき、リフレッシュできるもの。特に別府は建物や泉質などバラエティーに富んでいるのがいい。ただ、これからは別府だけでなく県内にあるいろいろな泉質の湯に入り、もっと深く温泉を知りたいですね」。マイペースで温泉道を歩んでいる。
データ: 入浴時間は午前7時~同10時半、午後3時~同10時。入浴料は5月から大人200円に値上がりした。小・中学生100円、未就学児無料は変わらず。TEL0977・23・8705。