おおいた温泉道 松浦毅さん 大分市森町・森町ドリーム天然温泉
大分市の住宅街。JR鶴崎駅から森町方面へ看板をたどっていくと、一角に大きな「ゆ」の文字が現れる。「森町ドリーム天然温泉」。外観も内装も手書きの文字や絵でにぎやかに飾られている。漫画が並ぶ本棚や乳製品の自動販売機、マッサージチェア…。大衆浴場の雰囲気に心が和む。
紹介者の松浦毅さん(72)は近くの団地に暮らす。「ぬるい湯が特別好きな自分にはこれでもちょっと熱めだが、毎日のように楽しく通っていますよ」。日常の暮らしの中で、自宅の延長のような存在という。
ナトリウム塩化物泉で「湯上がりの肌はツルツル」。電気風呂やジェット風呂、打たせ湯などの設備も豊富。温泉水で炊いた豚足は女性にも人気の名物になっている。
松浦さんは愛媛県育ち。「父親が温泉が好きで、一緒に道後、石鎚などの湯に親しんできた」という。高校、大学、社会人と野球に打ち込み、1970年、日鉱佐賀関の監督として大分に赴任した。社会人生活では通算14回の転勤を経験。行く先々でお気に入りの温泉を探してきた。
最後の勤務地となった大分で退職後も暮らす。友人の吉田正信さん(74)と一緒に、温泉とそば屋巡りを満喫している。長湯などのぬる湯が好みだ。
「大分はとにかく、県内にあらゆる種類の温泉がそろっているのがいい。それぞれ特長があり、次にどこに行くかとあれこれ考える楽しみがある」
ドリーム温泉には、還暦野球の選手らも集まる。野球ではライバルでもここでは「ドリーム仲間」。「いい湯はあちこちにあるけど、ここを紹介しないではみんなに怒られますよ」とニヤリ。湯上がりに談笑し、時には旅行にも出掛ける。“わが家の風呂”は日々の社交場にもなっている。
まつうら・たけし 1942年、徳島県生まれ。愛媛県の西条高校で夏の甲子園優勝。法政大、日鉱日立で活躍した。転勤先では真っ先に温泉と古本屋を巡ってきた。3度目の大分勤務は86年から。
データ
午前8時~午後11時(4月以降は午前11時から)。豚足や野菜なども販売している。定休は第1、第3水曜日。入浴料は350円(サウナ込み)。TEL097・521・5523。