おおいた温泉道 桑野 英司さん 玖珠町大隈・北乃園温泉
玖珠町でとびっきりの名湯は、とあるアパート駐車場の一角にあった。国道210号沿い、玖珠消防署の反対側の裏道にひっそりとたたずむ湯の名は「北(きた)乃(の)園(その)温泉」。町内で唯一、九州八十八湯に選ばれた。
「一言で言うと保湿の湯やね。つるつる、スベスベでよう温まるわぁ」と常連の桑野英司さん(44)=玖珠町長野中=は満足そうに笑った。泉質はナトリウム—炭酸水素塩・塩化物泉で湯は淡黄色。源泉は51・9度でお湯は約42度。シャワー1本と5人も入ればいっぱいになる湯船のみというシンプルな造りだ。
地元住民でも知る人は少ない。もともとは近くの住民が主に利用してきたが、九州八十八湯に選出されて以来、町外の“名人たち”が徐々に増えてきた。温泉の小ささもあって、桑野さんは「本当は知られたくなかった」と苦笑いしながらも「泉質に優れ、湯上がり後もポカポカは続く。自慢の湯だね」と胸を張る。
桑野さんが温泉に目覚めたのは28歳のころ。趣味のパラグライダーで県内外から集まる仲間をもてなすため、これまでに県西部を中心に200カ所以上の温泉に入湯してきた“自称”県西部温泉名人だ。別府、由布院の一流ブランド温泉と県西部の最大の違いを「お湯の鮮度」という。
「別府、湯布院と比べて源泉の温度が低いところが多く、入浴できる温度に冷ますのに時間がかからない。言い換えれば湧きたてが味わえるということ。その魅力でいえばこっちも負けてないんじゃないかな」
メジャーな湯の街を巡るだけでは分かりきれない「おんせん県おおいた」。2015年の初湯は玖珠の名湯から始めてみてはいかがだろうか。
くわの・えいじ 玖珠町出身。町内でとんかつ店を営んでいる。趣味のパラグライダーは、忙しい仕事の合間を縫って飛んでいる。特技はバルーンアート。
北園温泉とも呼ばれる。営業時間は午前10時〜午後10時まで。大人200円、小学生以下無料。番台はなく、料金はさい銭箱に入れる。問い合わせは(TEL0973・72・0284)まで。