おおいた温泉道 安部将広さん キャセイの湯
外観はさほど目立つわけではないが、地元の常連客だけでなく、県外からも多くの温泉ファンが訪れる。住宅地に近いビジネスホテルの建物内にある天然温泉キャセイの湯(大分市賀来)は、温泉通の間では広く知られた名湯だ。
「しっとり肌になじむ感じが心地いい。毎日入りたくなる雰囲気もいいですね」。キャセイの湯を一押しに挙げた温泉道名人の安部将広さん(31)=ツーリズムおおいた職員=は、やや熱めの湯に体を沈めると、ふーっと一息ついた。
泉質は塩化物泉。温泉好きにはたまらない完全自噴の源泉掛け流し。湯の色合いは白みがかったヒスイ色で、浴槽の縁には温泉の成分が付着し、風情を醸し出す。サウナ、水風呂を併設しているのもうれしい。
北九州市出身で、大学進学を機に別府市で暮らし始め、温泉のとりこになった。学内の温泉サークルにも参加し、スタンプ帳「スパポート」を手に湯巡りを楽しんだ学生時代。「温泉を気軽に楽しめる生活は、県外出身の自分にとってすごいぜいたくだった」
大学卒業後、いったん県外で就職したが、2009年に大分市職員に採用され、“帰郷”を果たした。「一日一湯」を基本に各地の温泉巡りを楽しむ。昨年4月からはツーリズムおおいたに出向(2年間の派遣研修)、念願だった温泉・観光分野の仕事に携わる。
主に東日本エリアの誘客を担当し、「おんせん県」の売り込みに奔走。テレビCMの効果もあり、「『温泉=大分』の認知度は格段に高まっていると思う」。県外の営業では木製のおけに温泉を入れて「手湯」を準備し、温泉の良さを実感してもらっている。
公私ともに充実の温泉ライフ。安部さんにとって温泉とは―。「日常の何げない幸せ、ですね」
あべ・まさひろ 立命館アジア太平洋大学卒。現在は大分市役所からツーリズムおおいた事務局(別府市)に出向中。大学1年から温泉巡りを楽しみ、第749代「温泉道名人」。
利用は午前10時~翌日午前1時(日・祝日は午前6時~)。中学生以上300円、小学生140円、未就学児50円。問い合わせは大分キャセイホテル(TEL097・549・2890)。