塚原温泉「火口乃泉」 ぴりぴり、心地よい刺激
ぴりぴり、心地よい刺激 「皮膚病に効く」と口コミ
大分自動車道由布岳パーキングエリア(PA)に立ち寄ると、伽藍(がらん)岳中腹から、もくもくと上がる白い噴気が見える。由布市湯布院町塚原の塚原温泉「火口乃泉」は国内屈指の酸性泉として、県内外のファンに愛されている秘湯だ。
酸性度は食酢やクエン酸よりも上で、水素イオン指数(pH)は1・4。食べた物を消化する胃液と同レベルの高さだ。わずかに黄みがかった湯に全身を漬けると、ぴりぴりと肌を刺すような感覚に包まれた。最初は戸惑ったが、慣れてくると心地よい刺激。常連客から「なめてみよ」と言われ、恐る恐る湯を口に含むと、強烈な酸味と鉄そのものを口に入れたような味がした。
中津市三光の熊井啓一さん(79)は月に4、5回のペースで通っている。「いろんな温泉を試したが、ここが一番。もうここにしか来ない」。休憩を挟みながら、毎回2時間以上は漬かる。「たった1時間の運転で、この泉質に出合える。本当に幸せだと思う」
1995年にオープン。「皮膚病に効く」と口コミで広がり、アトピーなどに悩む人が遠方からもやって来る。「特に週末は県外ナンバーの方が多い」とスタッフの桜井亮さん(30)。取材当日は平日だったが、高知や北九州のナンバープレートを見掛けた。
「別府市にも、由布院温泉街にも近いのに、どちらにもない泉質。活火山と自然が織りなす恵みを感じてもらいたい」と桜井さん。2016年11月に開通した由布岳PAのスマートインターチェンジからは車で約10分。少し身近になった秘湯が待っている。
( メモ //) 営業時間は午前9時~午後6時(6~8月は同7時まで)。入浴料は中学生以上500円(小学生以下200円)で露天は600円(同200円)。内湯と露天の両方に入る場合は800円(同300円)。家族湯は1時間2千円。年末年始は休み。冬季は積雪などの影響で臨時休業になることもある。問い合わせは火口乃泉(TEL0977・85・4101)へ。
気軽にフレンチ! 地元食材がたっぷり
火口乃泉から車で10分ほど静かな森の中を進むと、ホテル「フォレスト・イン・ボン」がある。昨年3月に始めた創作フレンチの週替わりランチ(1500円)が人気。由布市出身でパリや東京で腕を磨いた佐藤英司シェフ(40)が地元食材をふんだんに用いて腕を振るう。前菜、スープ、メインの3皿にパンとコーヒーが付く。
渡辺理(おさむ)オーナー(46)の「観光客だけでなく、地元の人たちにも気軽にフレンチを楽しんでほしい」との思いから価格を抑えて提供している。ランチ営業は金、土、日、月曜日の正午~午後3時までで要予約。問い合わせは同ホテル(TEL0977・84・2975)へ。