大分の鏝絵 ~家の門守り~
私は大分県の出身だが、明治時代に全盛期を迎えた鏝絵(こてえ)を今回初めて知った。建物の老朽化や持ち主の高齢化で、作品の管理が難しく、その数は減少している。そのため平成8年には「大分の鏝絵習俗」として国の無形民俗文化財に選ばれた。
鏝絵は外壁に作られているのに、長い年月を経ても色鮮やかだ。大分の鏝絵の特徴は「練込技法」で、ある程度盛り上げた白漆喰(しろしっくい)の鏝絵の上に、3~5㎝ほどの厚さで顔料を混ぜた漆喰を塗りかぶせて仕上げる。こうすることで、防水性が高く、風化に強くなる。職人の知恵によって生み出された作品に、ロマンを感じる。今後も受け継がれてほしい技だ。
豊後鏝絵師仁五の後藤五郎さんは、先人たちが残した技法に独自の手法を加えて、鏝絵を全国に普及させている。仁五作品はパーツを組み合わせた立体構造で、作品を前にすると大迫力だ。「平らな壁に、作品を付けることで、息吹を与える」と五郎さんは鏝絵の魅力を語る。年月をかけて完成した作品は職人の想いを乗せていきいきとし、今にも動きだしそうだ。
この動画ニュースを見た多くの人が鏝絵に興味をもち、未来に受け継がれることを願うばかりだ。
(日本文理大学工学部情報メディア学科4年 森本吾子美)