内成棚田の田植え 日本の原風景、いつまでも
別府市の内成棚田で、今年も田植えが行われた。地形に沿って階段状に作られた水田は、先人たちの労力の結晶である。“日本の棚田百選”に選出されている棚田でもあり、高台から風光明媚(めいび)な景色が広がる。しかし、この日本の原風景ともいえるこの棚田が、最近は危機にひんしているという。
山間地に位置する棚田は1枚の面積が少ないことから、小さめの田植え機を使用し、直線でないところは人の手で植えていくことになる。平地の水田に比べると労力は2倍、収穫量は半分と言われている。地域の過疎・高齢化による人手不足で、休耕田が多く見られるようになった。そうした問題を少しでも解決しようと、地元住民による“内成活性化協議会”が中心となって棚田の維持管理に努めている。
撮影時も休耕田を増やさぬようにと同協議会が協力して田植えを行っていた。それでも役員の梶原さんは「マンパワーが足りず、現状を保つのが精いっぱい」だと言う。農作業効率を求めて数枚の田を合わせて1枚あたりの田を広げればよいが、そうすると棚田としての景観が見劣りしてしまう。矛盾とのせめぎあいだ。
いつまでもこの美しい棚田を残してほしい―この願いはもはや地域住民の力だけでは解決できそうもないところまで来ているのではないか。複雑な思いを抱きながら棚田の撮影を終えた。
(日本文理大学工学部情報メディア学科3年 萩原匠海)