3㌧トラックを引っ張る「えびす」チームの3人=23日、佐伯市
物流の仕事をPRする「トラックフェスin佐伯」が8月23日、佐伯市であった。呼び物の「トラック綱引きタイムトライアル」は出場チームに熱い声援が飛び交い、大きな盛り上がりを見せた。出場者の中に大分東明高ラグビー部員がおり、注目を集める中、圧倒的なタイム差で優勝した。
■見どころはプロップのナチュラルパワー
競技は3人でチームを編成し、3トントラックを綱で30メートル引っ張り、ゴールまでのタイムを競うというシンプルなルール。大分東明高のラグビー部員は、大分市の渡辺行雲(ゆくも)さん(17)=2年=で、父親らと一緒に「えびす」という名称のチームを組んで出場した。
渡辺さんは身長178センチ、体重107キロと大柄で、ポジションはスクラムの要となるプロップだ。ラグビー部のポロシャツと短パンがよく似合う。がっしりした体に秘めたナチュラルパワーが見どころだ。
■大声援の中ぐんぐん加速し圧勝
レースには9チームが出場した。「えびす」は3番目に登場し、渡辺さんは3人の真ん中で綱を握った。号砲とともに腰を落として踏ん張り、綱に力を伝導。3トン車のタイヤがググッと動くと、その回転運動を止めぬよう、一気に力いっぱい引いた。大声援の中、ぐんぐん加速しながら30メートルを駆け抜けた。タイムは16秒07。前の2チームが58秒34と24秒75だったため、暫定1位だ。
その後、6チームが走ったが、「えびす」が脅かされることはなく、トップを譲らないまま最終組が終了。見事優勝した。2位の「ポンコツ梅田」のタイムは21秒97で、圧勝だったことが分かる。
■意義深さを感じる運送業界との接点
昭和の時代、「密林男」の異名を取ったグレート・アントニオというプロレスラーが、1人でバスを引っ張り、怪力ぶりをアピールして話題になった。今回のレースは3トン車とはいえ、引っ張っているのは一般人の3人。簡単なことではない。
しかし「トラックが動き出したら意外と軽く感じた」と渡辺さん。さすがはレスラー並みの体格だ。ただ、きつかったのは事実で「距離があったので疲れました。う~ん、そりゃラグビーの方が疲れますけど」と言いつつ「優勝、うれしいっス!」と笑顔を見せた。
フェスは今年で2回目。実行委員会の高山和也委員長らスタッフは「綱引きをはじめ、イベントを通じて運送業界と接点を持ってもらえたことは意義深い」と話す。来年も開催するつもりでいる。(下川宏樹)