「商品に魅力があり、結果的に日田の物だったということが大切」と話す仙崎雅彦さん=日田市豆田町の「Areas」
日田市豆田町でショップ「エリアス」を営む。ものづくり文化を伝え、生活空間を提案するのがコンセプト。デザインを手掛けたソファや雑貨など「日田産」を中心にした生活用品が並ぶ。「消費者は日田の物を求めているのではない。商品に魅力があり、結果的に日田の物だったということが大切」と話す。
北九州市出身。大学で産業デザインを学ぶと、自動車などの工業デザインに憧れた。だが仕事は細分化され、全体を描けるのは世界でもほんの一握りだけ。勉強を続けると、北欧の無駄なく美しい家具に引かれた。冬が厳しければ、それだけ家具と過ごす時間が長い。使い心地の良いデザインが追求されてきた。「人にとって最も使いやすい家具を作り、暮らしを充実させたい」と決意した。
調べていくと、ソファの一大産地は日田市だと知った。「仕事が成り立ち、生活できるなら」と市内の家具メーカーに就職。ソファのデザイン、製造まで一通り学んだ。
29歳で独立し、ショップを開店。自らデザインを描き、職人に商品制作を依頼する。ソファや日田杉のカップ、日田下駄(げた)、小鹿田焼などの職人と共に試行錯誤を繰り返す。漆職人とのコラボでは日田杉カップに鮮やかな色付けを施した。ソファのひじ掛けには、日田杉製カップの置き場所も作った。「日田っぽいでしょ」とほほ笑んだ。
店名のエリアスは「地域の」という意味。「地域の将来のためにも日田のものづくりのイメージを落とす訳にはいかない」と考える。店頭に並ぶ8割はオリジナル商品。来店しなければ、購入できない物ばかりだ。「お客さまに豆田に来てもらい、地域を味わってもらう。地域貢献にもつながります」とあくまで地域との相乗効果に重きを置く。