「お客さまの声にきちんと耳を傾け、商品開発に取り組みたい」と話す佐藤防水店の佐藤晃央社長=大分市西新地
「ものづくりに答えはありません。お客さまの声にきちんと耳を傾け、商品開発に取り組みたい」
テントやかばんづくりに携わって8年。先代から受け継いだテント・シート製造業をベースにしながら、国内で最も厚い帆布(はんぷ)を使用したオリジナルのかばんの製造を始めると、全国の百貨店などでも取り扱われるようになった。
社長としては6年目。元々は人と話すのが苦手だったが、「家業を継ぐには人と話すことも仕事」と考え、大学卒業後はアパレルメーカーで接客業を学んだ。そこで得た知識や経験、人脈は現在の仕事にも存分に生かされているという。
大分市で生まれ育ち、高校、大学ではラグビー部に所属。チームプレーが求められた経験からも、物事を考えるときにはバランスに優れた「三つ」を基本にしている。テント、シート以外に三つ目の柱が必要と考え、「うちには優れた技術と職人がいる。アパレルで得た知識や感性、テントの端材を活用した雇用をつくれないかと考え、かばん部門を始めた」と振り返る。
当初は2人でかばん部門を始めたが、現在は10人で回す。「一生使い続けることができ、親から子、孫に受け継がれるかばんでありたい」と思いを込める。
豊かなライフスタイルを掲げ、衣食住の「三つ」を充実させようと会社づくりに奮闘している。昨年は創業の地、同市豊町に「ONE’S HOME inc.」を設立。1階がカフェで、2階がオーダーメードスーツなどの洋服販売をする。同市顕徳町では古民家再生や新築・リフォームをする会社も始めた。
若者たちの都会への憧れは強いが、「私は大分が大好きです。大分の人たちはもっと格好良くならないとだめ。異業種の人と連携して大分を盛り上げますよ」。