日銀が直面する最大の課題は、長年にわたった異次元金融緩和からの正常化にある。上場投資信託(ETF)の売却決定はその重要な一歩と言えよう。だが一方で、物価高が続くにもかかわらず政策金利の引き上げは今回も見送った。日銀は後手に回ることなく、金...
戦後日本の防衛政策を大きく転換し、自衛隊の任務を拡大した安全保障関連法の成立から10年が経過した。日本周辺の緊張緩和につながったかどうか、評価はまだ定まっていない。抑止力強化の必要性は認めるが、対話に軸足を置いた外交努力を怠ってはならない...
中国で9月18日は「国辱の日」と呼ばれる特別な日である。1931年、旧日本軍が柳条湖(遼寧省瀋陽市)で鉄道を爆破し、満州事変の発端となった日で、反日感情が高まりやすいといわれる。1年前のこの日には、広東省深圳市で登校中の日本人男児が見ず知...
自民党総裁選の構図が固まった。立候補の意向を示しているのは、1年前に石破茂首相に敗れた5人。衆参両院で少数与党に転落した要因の「自民政治」への不信を払拭できるか、党の生き残りを懸けた選択となる。 首相の進退を巡る党内抗争で政治の停滞を...
パレスチナ自治区ガザへの攻撃は既に「虐殺」の領域に入っている。イスラエルは、このままの道筋を歩んではならない。一方、イスラム組織ハマス側もイスラエル人の人質を解放すべきなのは言うまでもない。 イスラエル軍がガザの中心都市、ガザ市制圧作...
1966年の静岡県一家4人殺害事件で再審無罪が確定した袴田巌さんが、昨年10月に控訴断念を表明した畝本直美検事総長の談話で名誉を傷つけられたとして国に損害賠償を求め提訴した。検察トップが再審判決への不満をあらわにするという異例の談話を巡り...
自民党の権力争いによる政治空白の長期化を目の当たりにしながら、「政権交代」が現実味を帯びてこない。絶好のチャンスを生かせず、非力さばかりが浮かび上がる野党。政権を託す別の選択肢が不在の現状は、この国の政治にとって不幸な事態ではないか。 ...
運送業者や建設業者に販売する軽油の価格でカルテルを結んだ疑いが強まったとして、公正取引委員会は独禁法違反(不当な取引制限)容疑で石油元売り最大手ENEOSの子会社など8社を強制調査した。担当者の定期的な会合などで長期間にわたって値上げや価...
大規模災害に備えた大分県内の避難所の環境整備が遅れていることが、共同通信社のアンケートで明らかになった。避難所環境が不十分だと、災害関連死につながる。多くの自治体が予算や平時の置き場所、人員不足などを課題に挙げており、国の支援が急務となっ...
停戦に向けた交渉の途中で相手組織を攻撃した。暴挙も甚だしい。国際社会はイスラエルがこれ以上、国際法違反の殺害行為を繰り返さぬよう歯止めをかけるべきだ。 イスラエル軍は9日、カタールの首都ドーハでイスラム組織ハマス幹部らを標的に空爆を実...
日米共同訓練がきょう11日から陸上自衛隊の日出生台(ひじゅうだい)、十文字原(じゅうもんじばる)の両演習場などで始まる。大分県では昨夏以来3年連続10回目だ。 既に今年は初の日英共同(1月)と在沖縄米軍(2、3月)の訓練があった。海外...
石破茂首相の後継を選ぶ自民党総裁選は、国会議員と党員・党友が参加する形式により10月4日投開票で行うと決まった。 党改革には広く党員の意思を反映させるのは望ましいが、さらに政治空白が約1カ月続く。国会は通常国会閉会から約4カ月開かれな...
三菱商事が秋田・千葉の3海域の洋上風力発電事業から撤退した。国が推進する洋上風力の入札で、同社が中部電力の関連会社などとともに三つの案件を「総取り」し、注目された事業だった。 撤退によって電力の脱炭素を進める上で重要な洋上風力発電事業...
自民党総裁の石破茂首相が退陣の意向を表明した。党内から総裁選前倒しを突きつけられることが確定的となり、手詰まりとなっての決断だ。日米関税交渉が一区切り付いたことを決断の理由に挙げたが、参院選での大敗後の経緯はあまりにも理念を欠いた迷走と言...
自民党派閥裏金事件を受けた規制強化の法改正議論すら決着していないのに、別の「政治とカネ」事件である。政治不信は深まる一方だ。 公設秘書の給与を国から不正に受給した疑いがあるとして、日本維新の会・石井章参院議員(後に辞職、党除名)の議員...
大分県が宿泊税の導入を検討している。誘客やその環境整備などに充てる安定財源の確保が狙いだ。肯定的な見方が多い一方、観光施策への温度差などから否定的な自治体もある。「我利」を排し、建設的で未来志向の議論を18市町村に求めたい。 宿泊税は...
中国は80年前の抗日戦争と、世界反ファシズム戦争における勝利を記念する式典と軍事パレードを実施した。北京の天安門の楼上には、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領、そして北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記が並んだ。 第2次大戦で日本が加害...
新型コロナウイルスや伝染性紅斑(こうはん)(リンゴ病)、百日ぜきなどの感染症が全国で猛威を振るっている。特に大分県では新型コロナやリンゴ病、マダニ媒介など複数の感染症が他自治体を大きく上回っており、警戒を強めなければならない。 県健康...
自民党は大敗した参院選総括報告書をまとめ、両院議員総会に提出した。総括を受け自民は、党総裁の石破茂首相に対する退陣要求を踏まえ、総裁選前倒しの是非を問う手続きに入った。 報告書では、敗因に挙げた派閥裏金事件の対応に関し「猛省」、国民意...
一度始まった戦争に終結の道筋を付けることは容易ではない。国の意思決定には複雑な要素が絡み合う。歴史を過去のものとせず、正確な情報を基に冷静に対処する教訓を得たい。 第2次世界大戦で日本は1945年9月2日、米戦艦ミズーリ号で全権代表の...
災害には常に新たな面がある。今年7月末、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震が発生、津波警報によって多くの人が炎天下での避難を余儀なくされた。 昨年1月の能登半島地震は、道路が寸断され半島部のもろさ、災害復旧の難しさを浮き...
戦後80年を迎える中、中国の軍拡や北朝鮮とロシアの接近など、日本周辺の安全保障環境は一段と厳しくなった。だからと言って際限なく防衛費を膨らませていい理由にはならない。平和憲法や財政上の制約もある。 透明度を高め、巨額の使途をチェックす...
あすで8月が終わる。大分県は6月27日に観測史上最速で梅雨が明け、平年より22日も早く酷暑の日々を迎えた。炎天の下でさまざまな出来事があり、「明」よりも「暗」が印象に残る夏だった。 地域に【喜】をもたらした朗報といえば、初夏の5月に宇...
コンビニのミニストップは、一部店舗で店内調理品の消費期限を偽って販売していたと発表した。消費期限のラベルを貼り替え、期限を引き延ばすなどの不正行為が繰り返された。全国の約1600店で、おにぎりと弁当、総菜の販売を中止。再発防止策が完了する...
政府がコメの増産に向けて動き出した。生産抑制によって価格を安定させる政策から、ほぼ半世紀ぶりに転換する。 農水省はコメ高騰の原因を検証し、生産不足が根底にあると分析した。外食やインバウンド(訪日客)の増加で需要が予想以上に拡大。気候変...
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、旧安倍派幹部だった萩生田光一衆院議員の政策秘書(辞職)が政治資金規正法違反の罪で略式起訴され、罰金30万円などの略式命令を受けた。 一連の事件で刑事責任を問われたのは12人目だが、東京地検特捜...
日韓両国は安全保障を中心に多くの課題で利害を共有している。地域の安定には相互理解が欠かせない。両首脳は対話を重ねることで成熟した隣国関係を築いてほしい。 石破茂首相は、就任後初めて来日した韓国の李在明大統領と会談し、日韓関係について、...
アフリカ大陸の国々は、高い成長力を秘めている。その勢いを取り込む戦略が、人口減や資源不足を抱える日本に欠かせない。共存を図り、互恵関係の構築を目指してほしい。 日本が主導し横浜市で開かれた第9回アフリカ開発会議(TICAD)が閉幕した...
警察から突然電話がかかり「あなたが犯罪に関与し逮捕される可能性がある」と言われたら、動揺せずにいられるだろうか。ビデオ通話で偽の逮捕状などを示して不安をあおり、現金を振り込ませる警察官をかたる詐欺(ニセ警察詐欺)が昨年10月以降、大分県で...
県外から人波が大挙して押し寄せたのは2019年ラグビーW杯以来だったのではないか。 人気ロックバンド「ONE OK ROCK(ワンオクロック)」(ワンオク)の大分公演が先週末の16、17両日にクラサスドーム大分(大分市横尾)で開かれ、...
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