政府は公益通報者保護法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。通報への報復を目的とする解雇と懲戒処分に関与した個人に「6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金」を、法人に対しても「3千万円以下の罰金」を科す。民間だけでなく行政機関の職員も対象と...
石破茂首相の事務所が自民党議員15人に1人当たり10万円分の商品券を配っていたことが発覚した。首相は違法性がないと釈明しているが、金額は社会通念上の土産の範囲を超え、極めて不適切だ。事実上の裏金とみられても仕方がない。 自民党の派閥裏...
大手製造業の賃上げ交渉は高水準の回答が相次いだ。賃金の大幅改善は3年連続で、しっかりした賃上げを続けなければ人材確保もままならないという考えが大企業には浸透してきた。 経営側にとって圧力になったのが、長引く物価高や人手不足の深刻化であ...
ロシアによる侵略戦争を巡り、ウクライナは米国が提案した30日間の停戦を受け入れた。ロシアもこれを受け入れた上で、ウクライナとともに互いへの攻撃を即時に全面停止しなければならない。さらに、直ちに本格和平に向け交渉を開始する必要がある。 ...
高額療養費は医療費負担が過重にならないよう1カ月の支払いを一定額に抑える制度だ。政府はその上限額を今年8月から3年かけて引き上げる方針だったが、3度目の修正を迫られ、再検討することになった。甚だしい迷走だ。 長期治療を受けるがん患者ら...
2011年3月11日の東日本大震災から14年となった。 岩手、宮城、福島の3県を中心にマグニチュード(M)9・0の地震と津波に襲われ、死者は1万5900人、行方不明者は2520人。人的被害は北海道から神奈川まで計12都道県に及んだ。避...
2011年の東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣について、最高裁が検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。刑事裁判は終結し、一、二審の無罪が確定する。 国家が個人に刑罰を科す刑事司法では「疑わしきは...
「防災士」という民間資格をご存じだろうか。阪神大震災後に始まり、東日本大震災を契機に一気に取得者が増加。災害への備えや対策に関する知識・技能を習得し、防災や減災活動に取り組んでいる。頻発、激甚化する自然災害に対し、防災士の役割が重要度を増...
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕し、李強首相は所信表明にあたる政府活動報告で今後1年間の経済、社会など各分野について政策の方向性を示した。 今大会は、不動産不況を背景とする経済不振やトランプ米政権との対立激化にどう対処する...
トランプ米大統領が、2期目就任後初めてとなる施政方針演説に臨んだ。注目された外交分野では、ウクライナがロシアとの和平交渉に前向きになったことを明らかにした以外は、具体的な目標や理念を欠いた内容に終始した。 トランプ氏は演説で、ウクライ...
過去最大に膨張した予算案を与野党で見直し、財政健全化へ一歩を踏み出す好機だったが期待外れに終わった。 自民、公明の与党は一般会計総額が115兆5415億円と過去最大の2025年度予算案を修正し、国会へ提出。自公と日本維新の会などの賛成...
40年を超す歳月は個人が背負うには重すぎる。1983年に北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父明弘さんが96歳で亡くなった。最愛の娘と再会を果たせなかった無念は計り知れない。 70~80年代に起きた拉致事件で日本政府が認定した被害者は17...
ウクライナ戦争の終結に向け協議するはずだったトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、ホワイトハウスで報道陣を前に激しい口論となり会談は決裂した。トランプ氏は感情に流され、ロシアの侵略と戦うウクライナを見捨ててはならない。日米欧...
2024年の出生数は72万988人だった。前年から5・0%減り、9年連続で過去最少を更新。外国人を除く日本人だけの出生数は初めて70万人を割る可能性が高い。 価値観の多様化で未婚・晩婚化傾向が続く上、近年の物価高で経済的不安が高まった...
自民党旧安倍派(清和政策研究会)の裏金事件のキーパーソンがようやく国会の場で口を開いた。その証言は「知らぬ存ぜぬ」の派閥の幹部と明らかに食い違う。幹部を国会に招致し、真相解明を図らなければならない。 衆院予算委員会は、旧安倍派の元事務...
孤独や不安などで悩む人の相談窓口となる社会福祉法人「大分いのちの電話」が相談員と運営費の慢性的な不足に苦慮している。無償ボランティアの相談員が365日・24時間無休で対応しているが、人員不足で取り切れない電話も多数あるという。新たな担い手...
希望すれば、夫婦がそれぞれ旧姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度の是非を巡り、各党で議論が本格化している。自民党では意見が割れ、伝統的家族観を重視する保守派が別姓導入に反対し、旧姓の通称使用を拡大する複数の案を提示。推進派は、29年前に法相の諮...
少数与党下で「熟議の国会」への変容が期待されたが、党利党略が透けて見える熟議に欠けた3党合意だと指摘せざるを得ない。 衆院で審議中の2025年度予算案が修正され、参院での審議を経て成立する見通しになった。高校授業料の無償化と社会保険料...
インターネット上のオンラインカジノで賭博をしたとして賭博容疑で、東京五輪の卓球男子団体銅メダリストが書類送検され、吉本興業に所属する複数のタレントも事情聴取を受けた。パソコンを使って賭けをさせる大阪市のカジノ店では、経営者と客の計41人が...
ロシアのウクライナ侵略戦争の開始から3年となる時機に、米国が終結に向け初めてロシアとの直接交渉に乗り出した。トランプ米大統領の主導で生まれた停戦機運を逃さず、戦争を終わらせねばならない。米国が「ウクライナは欧州の問題」と突き放すのであれば...
ユーチューブやX(旧ツイッター)に代表されるインターネットの交流サイト(SNS)は、利用者同士が手軽に意思疎通できるのが利点だ。 しかし、真偽不明の情報や収益目的の過激な投稿が拡散する傾向があり、各地の選挙に与えるマイナスの影響が見過...
健康への影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」による水源地や水道水の汚染が大分県を含む全国で見つかっている。住民に不安が広がる中、海外に比べ国の対応は鈍い。水道水を安心して飲み続けられるよう影響の調査・研究、対策の徹底...
トランプ米大統領が関税政策を相次いで打ち出している。一方的な関税引き上げによる脅しをためらわない手法は貿易秩序を揺るがしかねない。 日本を含む各国を相手に鉄鋼や自動車に高関税を課そうとしており、商慣行や税制を不公正と認定し、報復関税を...
核廃絶の流れに日本政府が背を向けている。3月に米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議について、これまで通りオブザーバー参加も見送ると表明した。 核兵器禁止条約は2017年に採択され、21年に発効した。核兵器の開発や実...
内閣府が発表した2024年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比の年率換算で2・8%増と3四半期連続のプラス成長となった。企業の設備投資が寄与したためだが景気の柱である個人消費は弱く、24年の年間GDPは前年比0・1%増にとど...
平和は目指すべきだが、侵略の罪をロシアに忘れさせてはならない。米国とロシアが、ウクライナ戦争の終結に向けた和平交渉に着手する。トランプ米大統領によれば、ロシアのプーチン大統領と電話会談した際「大勢の死を防ぎたい」との考えで一致、両者は近く...
中国が人工知能(AI)の開発レースに参入してきた。新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が作り上げた生成AIの開発費用は米国企業よりはるかに少なくて済んだという。 米国勢の背中を追う中国の開発企業が突然姿を現し、金融市場や研究...
中国やロシア、北朝鮮の軍事的動向によって日本周辺の安全保障環境がこの10年で激変したことは間違いない。戦後80年の節目に当たる今こそ平和を誓うメッセージが求められるのではないか。 歴代内閣は戦後50年、60年、70年と10年ごとに首相...
2023年の衆院補選の演説会場で岸田文雄前首相らに向けて手製の爆発物を投げ込んだとして、殺人未遂など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判が、和歌山地裁で結審した。 被告が捜査段階で黙秘したため注目された審理では、被告側は...
公的医療保険の「高額療養費制度」見直し方針を巡り、がん患者団体などが反発し、福岡資麿厚生労働相は方針の一部修正を検討する意向を示した。厚労省は思い切って負担上限額引き上げ幅を縮小するべきだ。同省がまとめた見直し案では患者の負担増が過重とな...
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