日本国憲法は軍国主義の反省と教訓に基づき、平和主義をうたう。一方で、日本の安全保障をめぐる環境は憲法上の矛盾を抱えてきた。戦後80年の今、司法の姿勢を通じて憲法論議のありようを考えたい。 1950年代、当時の駐日米大使が最高裁長官と接...
日銀は政策金利の据え置きを決める一方で、物価上昇目標が想定通り実現していくならば、今後も利上げしていく姿勢を示した。トランプ関税により、内外経済とも先行きの不透明感が強まっている。日銀は景気・物価動向の緻密な分析に加え、金融政策の行方に理...
きょう1日は大分県防災航空隊の「安全を誓う日」である。2009年の防災ヘリ隊員死亡事故を受けて、悲劇を繰り返さぬよう自戒を込めている。4月には消火用バケツを上空で落とし、その後の山林火災出動に支障が出た。いま一度、「教訓」を肝に銘じなけれ...
農林水産省は政府備蓄米の放出に向けた3回目の入札を実施した。全量落札されれば、放出量は1、2回目と合わせ計31万2千トンになる。年間国内需要量の約5%に相当する量で通常なら価格下落に向けた動きにつながるはずだが足元では、いまだに高値が続い...
大分県が誇る別府アルゲリッチ音楽祭が今年も始まった。世界的なピアニスト、マルタ・アルゲリッチはクラシック好きならずとも、生の演奏に触れた者が大きな感動を受け取ることになる希有(けう)な演奏家である。その名を冠した音楽祭が地方を拠点に開催さ...
トランプ米政権がウクライナ戦争の終結に向け和平案をまとめ、関係各国に提示したようだ。米メディアなどによると、米国はロシアによるウクライナ領土の実効支配の現状を認め、ロシアに対する経済制裁も解除するという。 プーチン・ロシア大統領の要求...
乗客106人と運転士1人が死亡した尼崎JR脱線事故から20年となった。電車がマンションに激突した光景は衝撃的だった。乗客562人が重軽傷を負い、今も後遺症に苦しむ人が多い。 事故は2005年4月25日午前9時18分ごろ、兵庫県尼崎市の...
日米の財務相が会談し、為替レートは市場で決定される点など通貨政策の基本原則を再確認した。ただトランプ米大統領は、対日貿易赤字の一因が円安にあると重ねて批判している。日本の為替・金融政策に米政権は本質的に懸念があると理解すべきで、それを踏ま...
観光公害(オーバーツーリズム)が深刻化している。大分県も例外ではなく、押し寄せる訪日客らで暮らしに弊害が出ている場所もある。受け入れ地域の住民視点に立ち、持続可能な観光(サステナブルツーリズム)への公助が急務だ。 国際温泉観光都市の別...
石破茂首相は国民の苦しい生活実態ではなく、参院選での票しか見ていないようだ。表明した物価高対策はタイミング、内容ともに的外れで、選挙目当てと言うほかない。首相率いる政府与党にこの国を任せていいのかどうか、有権者は来たる選挙で厳正な判断を下...
総務省が2024年10月1日時点の人口推計を公表した。日本人は前年同月比89万8千人減の1億2029万6千人で、過去最大の落ち込み幅だった。外国人を含む総人口は55万人減の1億2380万2千人。少子高齢化で進む日本人の人口減少を、外国人の...
海外からのサイバー攻撃に先手を打って重要インフラへの被害を防ぐ「能動的サイバー防御」関連法案が参院で審議入りした。衆院で可決された際は、個人情報の扱いを巡り恣意(しい)的運用を懸念する野党の主張を踏まえ一部修正したものの、十分とは言えず疑...
佐藤樹一郎知事(67)は28日で就任から2年となり、1期目の任期を折り返す。堅実な県政運営や温和な人柄の印象に評価が集まる一方、発信力や求心力などに物足りなさを感じる声も少なくない。110万県民を率いる長としてさらなるリーダーシップを求め...
第2次大戦中、日本は度重なる空襲により多くの人命が失われた。軍関係者には恩給などが支払われたのに対し、民間人の犠牲は軽んじられてきた。ウクライナやパレスチナ自治区ガザで民間人を標的とした空爆が行われる。市民は戦争の犠牲をただ受け入れるほか...
トランプ米大統領の関税政策を巡る日米交渉が始まった。米側の関心は貿易から防衛費まで幅広い。閣僚級を軸に重層的に折衝を重ね、妥結への意欲を後退させないことが肝要だ。 米政府は、国別の相互関税が金融市場に大きなショックを与え、90日間の一...
デジタル市場に君臨する米グーグルに公正取引委員会が一撃を加えた。 公取委が「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業に独禁法の排除措置命令を出すのは初めてだ。これまでは、疑わしい行為があっても事業者側との合意で違反を解消する「確約手続き」...
全国各地で山林火災が相次いでいる。岩手県大船渡市で2月に起きた大規模な山林火災は、いったん勢いづくと人の手に負えないことを思い知らされた。その後も愛媛、岡山、宮崎、三重など各県で発生。森林面積が県土の約71%を占める大分県にとっても対岸の...
論議の出発点は、企業・団体献金が政策をゆがめているのではないかという疑念である。現行制度を温存し、小手先の見直しで済ませるならば、政治改革とは呼べない。 企業・団体献金の在り方を巡る与野党の協議は、期限の3月末までに折り合えず、再び先...
全国の児童相談所が2023年度に対応した児童虐待は22万件を上回り、33年連続で最多を更新した。大分県は1852件だった。暴言などで傷つける心理的虐待が6割を占め、子どもの目の前で家族に暴力を振るう「面前DV」が多かった。 国は子ども...
大阪・関西万博が13日、開幕する。158カ国・地域や国際機関が集い、生命や環境をテーマに未来社会のイメージを紡ぐ祝祭は半年間続く。 世界を覆う分断や対立に抗し、互いを認め合い、和解への歩みを刻むことが成功につながる。「未来」から世界の...
全国各地で大規模な野外音楽フェスティバル(フェス)がたけなわである。 自然の中で多様なアーティストのライブが堪能できる。特有の開放感、一体感、連帯感が醍醐味(だいごみ)だ。若者たちが近年のブームをけん引している。 出演者も利は大き...
マイナンバーカードに運転免許証機能を持たせて一体化する「マイナ免許証」がスタートした。システム障害で取得手続きなどができない不具合も出て課題が多い船出だ。 マイナ免許証でどれだけ便利になり、行政サービスの効率化で国や自治体の財政が良く...
トランプ米大統領の関税政策が全面的に動き出した。鉄鋼、自動車に続き、国・地域別の「相互関税」も発動された。 日本政府は米側に協議を申し入れ、赤沢亮正経済再生担当相とベセント米財務長官を軸に交渉に入る。関税見直しはもちろん、米側が主張す...
森友学園への国有地売却を巡り、公文書改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻雅子さんに対し、財務省は初回分の計2千ページを超える関連文書を開示した。森友側との交渉・応接記録や省内でやりとりされたメールなどで、これを含め開示予定...
日本経済の難局である。こんな時こそ政府も企業も柔軟かつ機敏な対応を心がけ、国民や従業員の生活をしっかり守ってもらいたい。 トランプ米大統領の発表した高関税措置が、世界の経済と金融・株式市場を揺るがしている。わが国ではインフレによる深刻...
最悪の場合、大分県で約1万8千人が死亡するという南海トラフ巨大地震の新たな被害想定。2012年の前回から対策を進めているものの、想定はほとんど変わらず、増えている項目すらある。減災の柱となるのは早期避難と住宅の耐震化だ。県民一人一人が危機...
民主主義を否定する自らの行為によって、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がその座を追われることとなった。憲法裁判所の決定によって、尹氏は大統領職を罷免された。韓国で大統領が弾劾訴追によって罷免されるのは、2017年3月の朴槿恵(パククネ...
サクラが乱れ舞う二豊路に、車載マイクを握ったウグイスたちの呼号が連なる。そんな「4年に1度の春」が近づいた。 平成の大合併で2005(平成17)年に誕生した大分県内5市の市長選と3市議選が6日、告示される。自らの生活に直結する最も身近...
トランプ米大統領は自由貿易を「米国に災厄をもたらしてきた」と見なし、関税の壁を張り巡らすことを決めた。だが、世界にとっては災いの始まりではないか。 米国に輸出された製品は値上げを余儀なくされ、インフレ再燃を招きかねない。高関税を課せら...
衝撃的な内容だった。フジテレビの第三者委員会の調査報告書は、元タレントの中居正広氏と女性との間のトラブルは「性暴力」だったと認定した。被害女性は当時、フジのアナウンサーであり「業務の延長線上」で起きたとの見解を示した。 フジが幾つもの...
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