トランプ米大統領は自由貿易を「米国に災厄をもたらしてきた」と見なし、関税の壁を張り巡らすことを決めた。だが、世界にとっては災いの始まりではないか。 米国に輸出された製品は値上げを余儀なくされ、インフレ再燃を招きかねない。高関税を課せら...
衝撃的な内容だった。フジテレビの第三者委員会の調査報告書は、元タレントの中居正広氏と女性との間のトラブルは「性暴力」だったと認定した。被害女性は当時、フジのアナウンサーであり「業務の延長線上」で起きたとの見解を示した。 フジが幾つもの...
日米両国が結束を強める方針に異論はない。だが自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれるような過度な日米一体化には憂慮を禁じ得ない。歯止めの議論が必要だろう。 トランプ米政権のヘグセス国防長官が来日し、中谷元・防衛相と初会談した。長官は中国の軍...
少数与党下で国会審議が重視された結果、言論の府の再生に近づいたとは言えよう。ただ、政治の信頼回復には「熟議と公開」の国会へさらなる前進が必要だ。 総額115兆円超の2025年度予算が成立した。衆院で修正後、参院が再修正し、衆院の同意を...
法務省は、6月1日の改正刑法施行で懲役刑と禁錮刑に代わり導入される「拘禁刑」の処遇課程を公表した。懲役刑の中心になってきた木工や印刷など刑務作業は義務ではなくなる。その分、個々の特性や事情を踏まえ、若年者の学習や高齢者のリハビリ、薬物依存...
田んぼの貯水力を生かして雨水などを一時的にためる「田んぼダム」。時間をかけて少しずつ排水することで、洪水被害を軽減する。近年多発する台風や線状降水帯などの豪雨対策として全国的に注目されており、大分県でも稲作農家の協力を得ながら導入の輪を広...
年金制度改革法案の国会提出が遅れている。中小企業の負担増が法案に含まれることなどから、参院自民党を中心に夏の参院選への影響を懸念し、選挙後への先送りを求める声が根強いためだ。党利党略だと断じざるを得ない。責任政党としての役割を放棄するもの...
トランプ米大統領が輸入車と自動車部品への追加関税25%を来週発動する。日本車も例外ではなく、国内の基幹産業が打撃を受けるのは必至だ。 高関税政策が米自動車産業の保護を目的としているのははっきりしており、到底認められるものではない。一方...
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、東京地裁が国の請求を認め、宗教法人法に基づく解散を命じた。長年の悪質な献金被害を認定し「甚大で看過できない」と判断した。 同法が定める「法令違反」を理由とする解散命令は、地下鉄サリン事件を起...
同性婚を認めていない現行法制の憲法適合性が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁が「違憲」と断じた。 これで2019年に全国で提起された第1次訴訟5件の高裁判決が出そろい、すべて違憲判断となった。今回の大阪地裁判決は一審段階で唯一の合憲...
日本と中韓両国の間には、近隣外交に特有の難しさが横たわる。最近まで両国との関係は冷え込んでいたが、対話機運を高める動きは歓迎だ。関係改善の兆しを逃さず、東アジアの安定化へ協力を深化させてほしい。 岩屋毅外相と中国の王毅外相は東京都内で...
国際オリンピック委員会(IOC)の次期会長にカースティ・コベントリー氏(ジンバブエ)が選ばれた。131年のIOCの歴史で初の女性会長、欧米以外からの選出も初めてだ。41歳という若い新リーダーが、課題山積の五輪ムーブメントに新風を吹き込むこ...
斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑などを内部告発した元県幹部の男性が懲戒処分となり後に亡くなった問題で、県の第三者委員会は調査報告書を公表した。告発内容は公益通報者保護法による保護の対象とし、公益通報として扱わず処分した県の対応について「明...
石破茂首相が繰り返し述べてきた政治信条の真贋(しんがん)が問われている。首相のみならず歴代の首相にも疑念が広がった「政治とカネ」問題への対応に関してである。 自民党議員との会食に合わせ、時の首相側から高額の商品券が配られていた。国民の...
イスラエルがパレスチナ自治区ガザに大規模空爆を実施した。ガザ保健当局によると、少なくとも400人が死亡、1月に停戦合意が発効して以降で最悪の被害となった。ガザのイスラム組織ハマスは「一方的な停戦合意破棄だ」と非難、報復の構えも見せる。 ...
30年前のきょう、朝の通勤ラッシュ時に都内の地下鉄で猛毒のサリンがまかれ、14人が死亡、6千人以上が重軽症となった。この「地下鉄サリン事件」や数々の凶悪事件を起こしたオウム真理教の松本智津夫元死刑囚=教祖名麻原彰晃=や元幹部ら計13人の死...
大きな災害のたびにインターネット上の交流サイト(SNS)で偽・誤情報の拡散が起きている。迅速な救命・救急活動の妨げになりかねないだけにSNS事業者による削除対応や国による規制強化が急がれる。一方、受け取る側も真偽が確認できない情報の拡散に...
安全性は本当に大丈夫なのだろうか。 東北新幹線で、車両の連結が外れるトラブルが半年の間に2回も発生した。これまで30年以上一度もなかったことが続く異常事態。JR東日本は連結運転を見合わせていたが、応急処置をして再開した。だが原因は分か...
核兵器を全面的に非合法化した核兵器禁止条約の第3回締約国会議は、トランプ米大統領の復権もあって世界情勢が流動化する中、「核なき世界への決意」を強調し、核使用リスクを伴う核抑止論は「人類の存続を脅かす」とした政治宣言を採択して閉幕した。 ...
政府は公益通報者保護法の改正案を閣議決定し、国会に提出した。通報への報復を目的とする解雇と懲戒処分に関与した個人に「6月以下の拘禁刑か30万円以下の罰金」を、法人に対しても「3千万円以下の罰金」を科す。民間だけでなく行政機関の職員も対象と...
石破茂首相の事務所が自民党議員15人に1人当たり10万円分の商品券を配っていたことが発覚した。首相は違法性がないと釈明しているが、金額は社会通念上の土産の範囲を超え、極めて不適切だ。事実上の裏金とみられても仕方がない。 自民党の派閥裏...
大手製造業の賃上げ交渉は高水準の回答が相次いだ。賃金の大幅改善は3年連続で、しっかりした賃上げを続けなければ人材確保もままならないという考えが大企業には浸透してきた。 経営側にとって圧力になったのが、長引く物価高や人手不足の深刻化であ...
ロシアによる侵略戦争を巡り、ウクライナは米国が提案した30日間の停戦を受け入れた。ロシアもこれを受け入れた上で、ウクライナとともに互いへの攻撃を即時に全面停止しなければならない。さらに、直ちに本格和平に向け交渉を開始する必要がある。 ...
高額療養費は医療費負担が過重にならないよう1カ月の支払いを一定額に抑える制度だ。政府はその上限額を今年8月から3年かけて引き上げる方針だったが、3度目の修正を迫られ、再検討することになった。甚だしい迷走だ。 長期治療を受けるがん患者ら...
2011年3月11日の東日本大震災から14年となった。 岩手、宮城、福島の3県を中心にマグニチュード(M)9・0の地震と津波に襲われ、死者は1万5900人、行方不明者は2520人。人的被害は北海道から神奈川まで計12都道県に及んだ。避...
2011年の東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣について、最高裁が検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。刑事裁判は終結し、一、二審の無罪が確定する。 国家が個人に刑罰を科す刑事司法では「疑わしきは...
「防災士」という民間資格をご存じだろうか。阪神大震災後に始まり、東日本大震災を契機に一気に取得者が増加。災害への備えや対策に関する知識・技能を習得し、防災や減災活動に取り組んでいる。頻発、激甚化する自然災害に対し、防災士の役割が重要度を増...
中国の全国人民代表大会(全人代=国会)が開幕し、李強首相は所信表明にあたる政府活動報告で今後1年間の経済、社会など各分野について政策の方向性を示した。 今大会は、不動産不況を背景とする経済不振やトランプ米政権との対立激化にどう対処する...
トランプ米大統領が、2期目就任後初めてとなる施政方針演説に臨んだ。注目された外交分野では、ウクライナがロシアとの和平交渉に前向きになったことを明らかにした以外は、具体的な目標や理念を欠いた内容に終始した。 トランプ氏は演説で、ウクライ...
過去最大に膨張した予算案を与野党で見直し、財政健全化へ一歩を踏み出す好機だったが期待外れに終わった。 自民、公明の与党は一般会計総額が115兆5415億円と過去最大の2025年度予算案を修正し、国会へ提出。自公と日本維新の会などの賛成...
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