40年を超す歳月は個人が背負うには重すぎる。1983年に北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父明弘さんが96歳で亡くなった。最愛の娘と再会を果たせなかった無念は計り知れない。 70~80年代に起きた拉致事件で日本政府が認定した被害者は17...
ウクライナ戦争の終結に向け協議するはずだったトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、ホワイトハウスで報道陣を前に激しい口論となり会談は決裂した。トランプ氏は感情に流され、ロシアの侵略と戦うウクライナを見捨ててはならない。日米欧...
2024年の出生数は72万988人だった。前年から5・0%減り、9年連続で過去最少を更新。外国人を除く日本人だけの出生数は初めて70万人を割る可能性が高い。 価値観の多様化で未婚・晩婚化傾向が続く上、近年の物価高で経済的不安が高まった...
自民党旧安倍派(清和政策研究会)の裏金事件のキーパーソンがようやく国会の場で口を開いた。その証言は「知らぬ存ぜぬ」の派閥の幹部と明らかに食い違う。幹部を国会に招致し、真相解明を図らなければならない。 衆院予算委員会は、旧安倍派の元事務...
孤独や不安などで悩む人の相談窓口となる社会福祉法人「大分いのちの電話」が相談員と運営費の慢性的な不足に苦慮している。無償ボランティアの相談員が365日・24時間無休で対応しているが、人員不足で取り切れない電話も多数あるという。新たな担い手...
希望すれば、夫婦がそれぞれ旧姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度の是非を巡り、各党で議論が本格化している。自民党では意見が割れ、伝統的家族観を重視する保守派が別姓導入に反対し、旧姓の通称使用を拡大する複数の案を提示。推進派は、29年前に法相の諮...
少数与党下で「熟議の国会」への変容が期待されたが、党利党略が透けて見える熟議に欠けた3党合意だと指摘せざるを得ない。 衆院で審議中の2025年度予算案が修正され、参院での審議を経て成立する見通しになった。高校授業料の無償化と社会保険料...
インターネット上のオンラインカジノで賭博をしたとして賭博容疑で、東京五輪の卓球男子団体銅メダリストが書類送検され、吉本興業に所属する複数のタレントも事情聴取を受けた。パソコンを使って賭けをさせる大阪市のカジノ店では、経営者と客の計41人が...
ロシアのウクライナ侵略戦争の開始から3年となる時機に、米国が終結に向け初めてロシアとの直接交渉に乗り出した。トランプ米大統領の主導で生まれた停戦機運を逃さず、戦争を終わらせねばならない。米国が「ウクライナは欧州の問題」と突き放すのであれば...
ユーチューブやX(旧ツイッター)に代表されるインターネットの交流サイト(SNS)は、利用者同士が手軽に意思疎通できるのが利点だ。 しかし、真偽不明の情報や収益目的の過激な投稿が拡散する傾向があり、各地の選挙に与えるマイナスの影響が見過...
健康への影響が懸念される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」による水源地や水道水の汚染が大分県を含む全国で見つかっている。住民に不安が広がる中、海外に比べ国の対応は鈍い。水道水を安心して飲み続けられるよう影響の調査・研究、対策の徹底...
トランプ米大統領が関税政策を相次いで打ち出している。一方的な関税引き上げによる脅しをためらわない手法は貿易秩序を揺るがしかねない。 日本を含む各国を相手に鉄鋼や自動車に高関税を課そうとしており、商慣行や税制を不公正と認定し、報復関税を...
核廃絶の流れに日本政府が背を向けている。3月に米ニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の第3回締約国会議について、これまで通りオブザーバー参加も見送ると表明した。 核兵器禁止条約は2017年に採択され、21年に発効した。核兵器の開発や実...
内閣府が発表した2024年10~12月期の実質国内総生産(GDP)は、前期比の年率換算で2・8%増と3四半期連続のプラス成長となった。企業の設備投資が寄与したためだが景気の柱である個人消費は弱く、24年の年間GDPは前年比0・1%増にとど...
平和は目指すべきだが、侵略の罪をロシアに忘れさせてはならない。米国とロシアが、ウクライナ戦争の終結に向けた和平交渉に着手する。トランプ米大統領によれば、ロシアのプーチン大統領と電話会談した際「大勢の死を防ぎたい」との考えで一致、両者は近く...
中国が人工知能(AI)の開発レースに参入してきた。新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が作り上げた生成AIの開発費用は米国企業よりはるかに少なくて済んだという。 米国勢の背中を追う中国の開発企業が突然姿を現し、金融市場や研究...
中国やロシア、北朝鮮の軍事的動向によって日本周辺の安全保障環境がこの10年で激変したことは間違いない。戦後80年の節目に当たる今こそ平和を誓うメッセージが求められるのではないか。 歴代内閣は戦後50年、60年、70年と10年ごとに首相...
2023年の衆院補選の演説会場で岸田文雄前首相らに向けて手製の爆発物を投げ込んだとして、殺人未遂など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判が、和歌山地裁で結審した。 被告が捜査段階で黙秘したため注目された審理では、被告側は...
公的医療保険の「高額療養費制度」見直し方針を巡り、がん患者団体などが反発し、福岡資麿厚生労働相は方針の一部修正を検討する意向を示した。厚労省は思い切って負担上限額引き上げ幅を縮小するべきだ。同省がまとめた見直し案では患者の負担増が過重とな...
衆院で審議中の2025年度予算案を巡る修正論議が本格化している。所得税が生じる「年収の壁」引き上げ幅や所得制限のない教育無償化のほか、患者負担が増える高額療養費制度見直しの是非も焦点だ。 政府と与野党には、政治の信頼回復のため、国民が...
長野県で2015年に中学3年の男子生徒が車にはねられ死亡した事故の上告審判決で、最高裁は道交法違反(ひき逃げ)罪に問われた男性被告について、二審無罪判決を破棄し、逆転有罪とした。懲役6月の一審判決が確定。すぐ救命措置をせず、飲酒運転を隠す...
米価高騰を受け農林水産省が政府備蓄米の放出を決めた。週内にも入札の実施概要を明らかにするという。放出量、売り渡し先、価格などについて透明性を持って精緻に設定し、米価安定に対する実効性を確保しなければならない。 米価安定とはただ単に安値...
日米首脳の信頼醸成に向け無難なスタートを切ったと言えるのではないか。何が飛び出すか戦々恐々としていた石破茂首相はひとまず胸をなで下ろしているだろう。 米首都ワシントンを訪れた首相はトランプ大統領と初めて会談し、自由で開かれたインド太平...
日本を代表する自動車メーカー、ホンダと日産自動車の経営統合交渉は失敗に終わったようだ。日産のリストラ策の甘さにいら立つホンダと、対等に近い立場での統合にこだわる日産のメンツがぶつかり合った。 交渉を始めてまだ1カ月余りだが、互いの技術...
厚生労働省は、今国会への提出を目指す年金制度改革関連法案の概要を与党に示した。柱の一つは、週20時間以上働くパートら短時間労働者を厚生年金に加入しやすくする適用拡大だ。...
トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザを「長期的に所有する」と主張。住民については、周辺国など域外の安全な場所に恒久的に再定住させるべきだと提案した。国際秩序に対する挑戦であり、提案は撤回するべきだ。 米国は、イスラエルとイスラム組織...
埼玉県八潮市の県道交差点で、下水道管の破損が原因とみられる大規模な道路陥没事故が起きた。陥没は周囲に広がり、周辺住民の避難や、下水道網でつながる12市町の約120万人に下水道の利用自粛を呼びかける事態にまで拡大。老朽化したインフラの維持管...
トランプ米政権は中国とカナダ、メキシコへの関税発動を発表、関係国の関税を巡る駆け引きが始まった。貿易戦争が激化すれば世界経済への打撃は大きい。とりわけ米中両国には大国として冷静な対応を求めたい。 中国に10%の追加関税、カナダとメキシ...
ミャンマー国軍がクーデターで実権を握って4年。軍事政権は「自由で公正な総選挙」を実施して民政復帰を達成すると主張している。だが民主派の政党は解散させられており、民主派を排除して支配の正当化を狙う形ばかりの選挙は論外だ。 軍政は有権者名...
2025年度予算案が衆院予算委員会で実質審議入りした。少数与党の政治状況は、野党から見れば国会運営の主導権を奪う好機である。形骸化が叫ばれる審議を活性化するため、政府与党だけではなく野党各党も姿勢が問われる。 特に野党第1党の立憲民主...
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