石破茂首相は今年初の外遊先として東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟のマレーシアとインドネシアを訪れ、両首脳と安全保障や経済分野での連携強化を確認した。 両国は台頭著しい新興・途上国「グローバルサウス」の一角を占める。訪問は東南アジア...
政府は認知症施策の指針となる基本計画を策定した。認知症の人を単なる「支える対象」ではなく、尊厳ある個人と捉えて個性、能力を発揮してもらう「共生社会」を目指す。実効を期待したい。 2022年の認知症、軽度認知障害(MCI)の高齢者は計1...
公益通報制度の見直しに向け、消費者庁の有識者検討会は報告書をまとめた。公益通報を理由に通報者を解雇したり、懲戒処分にしたりした事業者側に刑事罰を科すよう提言した。また解雇・懲戒された通報者が民事裁判で損害賠償などを求めたときに、通報が処分...
考えを転換し、一歩踏み出す時ではないか。 昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が官邸で石破茂首相に会い、3月に米国で開かれる核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を求めたが、首相から前向きな言葉はなか...
陸上自衛隊と英国陸軍の共同訓練「ヴィジラント・アイルズ(警戒厳重な島)」(VI)が15日から26日までの12日間、大分県の陸自・日出生台(ひじゅうだい)演習場で初めて実施される。米軍との演習頻度が高まる中、新たな2国間訓練を受け入れること...
政府の地球温暖化対策推進本部は、新たな温室効果ガスの排出削減目標を「2035年度に13年度比60%減、40年度に同73%減」とする地球温暖化対策計画の改定案を了承した。26日まで意見公募をした後に閣議決定する方針だ。 60%減という目...
司法に対する国民の信頼を著しく失墜させる前代未聞の事件だ。 裁判官から出向していた32歳の金融庁元職員(懲戒免職)が、職務上知り得た未公表の企業情報を基に株式のインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反の罪で起訴された。免職とな...
昨年末の混雑期に日航がサイバー攻撃の標的になり、手荷物を預けるシステムの不具合で国内、国際線に遅延が出た。国境を越えて政府機関や重要インフラが狙われる脅威が高まっている。被害の深刻さから、備えを強化することに異存はない。 防御に実効性...
米国の産業にとって、決してプラスにならない決定をバイデン米大統領が下した。親密な同盟国の企業が、苦境にある米国企業と手を結ぶ戦略のどこに「安全保障上の懸念」があるのか。 日本製鉄によるUSスチールの買収を葬ろうとする大統領の命令は、保...
2025年の日本経済は、米中をはじめとする海外景気の影響を強く受ける一方で、国内ではインフレと賃上げの行方がその足取りを左右することになりそうだ。内外情勢ともに不透明感が拭えず、警戒を怠らないようにしたい。 最大の焦点は「米国第一」を...
平和と繁栄への期待で始まった21世紀も4分の1が過ぎつつある。25年前、今の世界のありようを誰が想像しただろうか。ウクライナと中東が戦火にまみれ犠牲者が増え続ける中、専制国家のネットワーク化が加速する荒涼とした風景だ。 米国では「アメ...
日本の針路を方向付ける首相は誰がふさわしく、支える与党はどの政党か。2025年、私たちは改めて審判を下すことになる。7月に想定される参院選である。 参院選は衆院選と違って政権交代につながらず、時の政権が「中間評価」を受ける選挙とされる...
昨年は世界各国で政治状況の大きな変化がみられた。民主主義の根幹を揺るがすような場面も少なくない。昨年就任した石破茂首相は所信表明演説で、戦前、戦後を代表する言論人で政治家だった石橋湛山の言葉を引用した。国会議員の湛山研究会には、党派を超え...
先行きが不透明な時代に、地方の未来をどう描くか。石破茂首相は、これまでの地方創生の取り組みを「再起動」すると打ち出した。人口減少と担い手不足で、地方を取り巻く環境は厳しさを増している。魅力ある地域づくりへ、国と地方双方の本気度が問われる。...
今年も残すところあと1日。辰年は激動の年になりやすいとされるが、まさに世界中で自然災害や政変が相次いだ。国内では記録的な猛暑が農作物の生育に大きな影響を及ぼし、「令和の米騒動」も起きた。10月には石破茂内閣が発足し、直後の衆院選では与党が...
2024年は、逮捕した容疑者に対する検事の侮辱的、威圧的な取り調べが、相次いで問題化した1年だった。 11月下旬には、和歌山市で23年に起きた岸田文雄首相(当時)襲撃事件の取り調べで、検事が容疑者の人格を否定するような発言を繰り返して...
税収が好調だからといって、歳出膨張が許されるはずはない。多額の借金に頼る点に変わりはないからだ。自然災害をはじめ将来の危機に備えるためにも、財政の深刻さに向き合い、健全化に取り組む時だ。 政府は、一般会計の総額が115兆5415億円と...
1966年の静岡県一家4人殺害事件で袴田巌さんの再審無罪が確定したのを受けて、最高検は再審や捜査に関する検証結果を公表した。その中で、警察の取り調べが連日深夜まで長時間にわたり、任意性を欠いていたとした上で「検察も、袴田さんを犯人と決めつ...
厚生労働省は年金制度改革に関する報告書をまとめた。来年の通常国会への法案提出を目指す。報告書は、働く高齢者の年金を減額する「在職老齢年金」の見直しや、「年収の壁」対策、遺族厚生年金の有期給付化など多岐にわたるが、焦点は基礎年金(国民年金)...
日銀は、過去四半世紀にわたる金融緩和策のレビュー(検証)結果を公表、同時に現在の政策について追加利上げの見送りを決めた。前者では、いわゆる異次元緩和がデフレでない状況をつくり出すなど「わが国経済に対してプラスの影響をもたらした」と肯定的に...
与野党伯仲下で迎えた初めての臨時国会が閉幕した。野党の協力がなければ予算も法案も成立しない少数与党だけに、野党の提案に向き合う場面が増えた。変化が生まれつつある言論の府の再生に向けた歩みをさらに進めなければならない。 国会で焦点となっ...
電話やメール、交流サイト(SNS)を介した特殊詐欺が全国的に横行し、大分県内でも被害が過去最悪を更新している。県警は警告や録音機能付きの電話の設置や、着信に「+」の表示が出る国際電話には出ないようにするなどの対策を逐次情報発信しているが、...
北九州市のファストフード店で中学3年の男女が殺傷された事件で、地元警察が近くに住む43歳の男の容疑者を逮捕した。事件発生から6日目のことだ。 この間、地域住民らは強い不安に襲われ、小中高校などの児童生徒ら延べ1万人近くが登校を見合わせ...
自民党の派閥裏金事件で、旧安倍派幹部が真相を知りうる立場にあり、重い責任を負っていることが改めて浮き彫りになったと言える。政治不信の解消には、証人喚問などでさらに説明を求める必要があろう。 衆参両院で裏金事件を巡る政治倫理審査会が相次...
自民・公明の与党は2025年度の税制改正大綱を決定した。所得税が生じる「年収103万円の壁」の引き上げを明記し、防衛増税の開始時期では法人税とたばこ税は決めたものの、所得税は先送りした。 衆院で過半数を割る与党が国会運営の協力を得るた...
日本を代表するメーカーの大型再編が実現するかもしれないが、華やかさよりも切迫感ばかりが漂っている。 ホンダと日産自動車が経営統合の交渉に入る。日産は業績不振から抜け出せず、ホンダも電気自動車(EV)の開発やデジタル技術との融合に不安が...
野党7党提出の政治資金規正法再改正案が衆院本会議で可決された。参院審議を経て今国会で成立する見通しだ。 自民党の派閥裏金事件を踏まえた再改正案は、使途公開不要な政策活動費の全面廃止が柱。自民は政党の資金支出先を一部非公開にできる独自法...
闇バイトが絡む強盗事件を巡り、警察庁は「仮装身分捜査」を導入する方針を固めた。捜査員が交流サイト(SNS)などを通じて闇バイトに応募し、偽の運転免許証などの画像を送信して架空の人物に成り済ます。実行役として犯行グループに潜入。指示役らとや...
大げさな身ぶりに惑わされ、戦略の進化を見逃してはならない。 来年1月、米大統領に就任するトランプ氏が中国、メキシコ、カナダからの輸入品の関税を引き上げると表明した。 メキシコやカナダには不法移民や麻薬が米国に流入するのを防止するこ...
兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事は交流サイト(SNS)を積極的に活用し、若者を中心に支持を大きく伸ばしたとされる。その威力を目の当たりにした各党は来年の参院選をにらみ、インターネット戦略の練り直しを急ぐ。一方、選挙戦のさなかにはSNS...
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