森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが、財務省に関連文書不開示の決定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は決定を違法として取り消した。「自死の真相を知りたい」と、5年前...
有罪が確定した裁判をやり直す再審制度の見直しを求める声が、かつてないほど高まっている。衆参350人以上が名を連ねる超党派の議員連盟は昨年3月の設立以来、法務省や日弁連、再審事件の関係者にヒアリングして議論を重ねた。それを踏まえ、議員立法で...
物価高が続く中で春闘が事実上スタートした。過去2年続いた賃上げの勢いをさらに強め、中小企業や非正規社員の賃金を改善することを目指さねばならない。 業績好調が続く大企業の責任は重い。部品・素材メーカーや下請けの中小企業に対し、人件費の増...
通常国会は、衆参両院の各党代表質問を皮切りに論戦がスタートした。 米国第一主義を先鋭化させた第2次トランプ政権発足で不透明感を増す世界。国内でも厳しい経済財政運営、政治とカネ問題などに少数与党で直面し、石破茂首相は「守り」の答弁に終始...
障害があっても、周囲の適切な配慮があれば健常者と同じように働くことができる。そんな社会が当たり前になることを願う司法の大切なメッセージが込められているように思う。 聴覚に障害があった11歳の女児が交通事故で亡くなり、将来得られたはずの...
トランプ米大統領は地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱を表明した。第1次政権当時の8年前と同じ行為だが、気候危機は当時よりはるかに深刻だ。今後10年の取り組みが極めて重要とされる中、先進国最大の温室効果ガス排出国のトップによる無責任な...
全国的に建物火災が相次いでいる。厳しい冷え込みが続くこの時期は暖房器具を使う頻度が高まる。加えて空気の乾燥で火の回りが早く、強風にあおられて延焼する恐れもある。最近はコンセントや屋内配線が発火源となるケースが増えており、防火意識を高める必...
日銀は、政策金利を0・25%から0・5%へ引き上げることを決定した。昨年春に大規模金融緩和を手じまいして以来、3度目の利上げとなる。足元のインフレを考えると実質的な金利水準はまだ深いマイナスで、過度の円安など経済に悪影響が及んでいる。日銀...
24日召集の通常国会では、政治とカネ、所得税を巡る「年収103万円の壁」問題などと併せ、全国民が受け取る基礎年金(国民年金)の底上げをはじめとする年金制度改革が焦点だ。 基礎年金底上げは会社員らが加入する厚生年金の積立金を使う上、国庫...
フジテレビの対応は後手に回り、信頼回復に向けた記者会見も失敗に終わった。その後、スポンサーが次々にCMを差し替えて離反する動きが広がり、企業統治不全を露呈した。早急に全容を解明し、うみを出し切るべきだ。 昨年末に「週刊文春」が中居正広...
米国の第2次トランプ政権は、予想通りの衝撃を内外に与え幕開けした。非常事態宣言の連発で危機感をあおり、国境警備強化と化石燃料の増産を表明。関税強化の方針も明確にした。 性急な政権運営で、既存の制度や手法の否定と破壊に突き進むだけでは、...
消えたのは顧客から預かった現金や金塊だけではない。銀行への信頼も失われてしまった。不心得な行員による犯罪というだけで片付けられない深刻な事態だ。 三菱UFJ銀行の支店で営業課長などを務めた女性が、貸金庫にしまわれていた顧客の金品を盗ん...
発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が全国で検出されている問題で、環境省は、定期的な水質検査と基準値を超えた場合の改善を法律で義務付ける方針を打ち出した。汚染は日々の飲み水に関連するものだけに市民の不安は大きい。不安解消のため...
同盟国の信頼を踏みにじる言動だ。米国のトランプ次期大統領は、就任を約2週間後に控えた7日の記者会見で武力行使をちらつかせながら、デンマークに対してグリーンランドを「売れ」と言い出した。 北極に近い世界最大の島グリーンランドは米空軍基地...
イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザの停戦に合意した。15カ月を超える戦闘がもたらしたむごたらしい現実を改めて振り返ると、手放しで喜ぶことはできないものの、憎悪と暴力の連鎖を断ち切るために重要な節目だ。 履行開始は1...
6434人の犠牲者が出た阪神大震災から17日で30年。被害の甚大さから災害対応の在り方を見直すきっかけとなったが、その後起きた災害でも時間をおいて亡くなる「災害関連死」が後を絶たない。震災の教訓を生かし、次なる災害に備えたい。 199...
韓国の尹錫悦大統領が「非常戒厳」宣言を巡る内乱容疑で、捜査当局に身柄を拘束された。韓国で現職大統領が拘束されるのは初めてで、極めて異常な事態だ。 韓国国会では尹氏だけでなく、職務を代行した首相までが弾劾訴追され、外交や経済への悪影響が...
石破茂首相は今年初の外遊先として東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟のマレーシアとインドネシアを訪れ、両首脳と安全保障や経済分野での連携強化を確認した。 両国は台頭著しい新興・途上国「グローバルサウス」の一角を占める。訪問は東南アジア...
政府は認知症施策の指針となる基本計画を策定した。認知症の人を単なる「支える対象」ではなく、尊厳ある個人と捉えて個性、能力を発揮してもらう「共生社会」を目指す。実効を期待したい。 2022年の認知症、軽度認知障害(MCI)の高齢者は計1...
公益通報制度の見直しに向け、消費者庁の有識者検討会は報告書をまとめた。公益通報を理由に通報者を解雇したり、懲戒処分にしたりした事業者側に刑事罰を科すよう提言した。また解雇・懲戒された通報者が民事裁判で損害賠償などを求めたときに、通報が処分...
考えを転換し、一歩踏み出す時ではないか。 昨年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が官邸で石破茂首相に会い、3月に米国で開かれる核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を求めたが、首相から前向きな言葉はなか...
陸上自衛隊と英国陸軍の共同訓練「ヴィジラント・アイルズ(警戒厳重な島)」(VI)が15日から26日までの12日間、大分県の陸自・日出生台(ひじゅうだい)演習場で初めて実施される。米軍との演習頻度が高まる中、新たな2国間訓練を受け入れること...
政府の地球温暖化対策推進本部は、新たな温室効果ガスの排出削減目標を「2035年度に13年度比60%減、40年度に同73%減」とする地球温暖化対策計画の改定案を了承した。26日まで意見公募をした後に閣議決定する方針だ。 60%減という目...
司法に対する国民の信頼を著しく失墜させる前代未聞の事件だ。 裁判官から出向していた32歳の金融庁元職員(懲戒免職)が、職務上知り得た未公表の企業情報を基に株式のインサイダー取引をしたとして、金融商品取引法違反の罪で起訴された。免職とな...
昨年末の混雑期に日航がサイバー攻撃の標的になり、手荷物を預けるシステムの不具合で国内、国際線に遅延が出た。国境を越えて政府機関や重要インフラが狙われる脅威が高まっている。被害の深刻さから、備えを強化することに異存はない。 防御に実効性...
米国の産業にとって、決してプラスにならない決定をバイデン米大統領が下した。親密な同盟国の企業が、苦境にある米国企業と手を結ぶ戦略のどこに「安全保障上の懸念」があるのか。 日本製鉄によるUSスチールの買収を葬ろうとする大統領の命令は、保...
2025年の日本経済は、米中をはじめとする海外景気の影響を強く受ける一方で、国内ではインフレと賃上げの行方がその足取りを左右することになりそうだ。内外情勢ともに不透明感が拭えず、警戒を怠らないようにしたい。 最大の焦点は「米国第一」を...
平和と繁栄への期待で始まった21世紀も4分の1が過ぎつつある。25年前、今の世界のありようを誰が想像しただろうか。ウクライナと中東が戦火にまみれ犠牲者が増え続ける中、専制国家のネットワーク化が加速する荒涼とした風景だ。 米国では「アメ...
日本の針路を方向付ける首相は誰がふさわしく、支える与党はどの政党か。2025年、私たちは改めて審判を下すことになる。7月に想定される参院選である。 参院選は衆院選と違って政権交代につながらず、時の政権が「中間評価」を受ける選挙とされる...
昨年は世界各国で政治状況の大きな変化がみられた。民主主義の根幹を揺るがすような場面も少なくない。昨年就任した石破茂首相は所信表明演説で、戦前、戦後を代表する言論人で政治家だった石橋湛山の言葉を引用した。国会議員の湛山研究会には、党派を超え...
6日付の紙面はこちら