佐藤樹一郎知事(67)は28日で就任から2年となり、1期目の任期を折り返す。堅実な県政運営や温和な人柄の印象に評価が集まる一方、発信力や求心力などに物足りなさを感じる声も少なくない。110万県民を率いる長としてさらなるリーダーシップを求め...
第2次大戦中、日本は度重なる空襲により多くの人命が失われた。軍関係者には恩給などが支払われたのに対し、民間人の犠牲は軽んじられてきた。ウクライナやパレスチナ自治区ガザで民間人を標的とした空爆が行われる。市民は戦争の犠牲をただ受け入れるほか...
トランプ米大統領の関税政策を巡る日米交渉が始まった。米側の関心は貿易から防衛費まで幅広い。閣僚級を軸に重層的に折衝を重ね、妥結への意欲を後退させないことが肝要だ。 米政府は、国別の相互関税が金融市場に大きなショックを与え、90日間の一...
デジタル市場に君臨する米グーグルに公正取引委員会が一撃を加えた。 公取委が「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業に独禁法の排除措置命令を出すのは初めてだ。これまでは、疑わしい行為があっても事業者側との合意で違反を解消する「確約手続き」...
全国各地で山林火災が相次いでいる。岩手県大船渡市で2月に起きた大規模な山林火災は、いったん勢いづくと人の手に負えないことを思い知らされた。その後も愛媛、岡山、宮崎、三重など各県で発生。森林面積が県土の約71%を占める大分県にとっても対岸の...
論議の出発点は、企業・団体献金が政策をゆがめているのではないかという疑念である。現行制度を温存し、小手先の見直しで済ませるならば、政治改革とは呼べない。 企業・団体献金の在り方を巡る与野党の協議は、期限の3月末までに折り合えず、再び先...
全国の児童相談所が2023年度に対応した児童虐待は22万件を上回り、33年連続で最多を更新した。大分県は1852件だった。暴言などで傷つける心理的虐待が6割を占め、子どもの目の前で家族に暴力を振るう「面前DV」が多かった。 国は子ども...
大阪・関西万博が13日、開幕する。158カ国・地域や国際機関が集い、生命や環境をテーマに未来社会のイメージを紡ぐ祝祭は半年間続く。 世界を覆う分断や対立に抗し、互いを認め合い、和解への歩みを刻むことが成功につながる。「未来」から世界の...
全国各地で大規模な野外音楽フェスティバル(フェス)がたけなわである。 自然の中で多様なアーティストのライブが堪能できる。特有の開放感、一体感、連帯感が醍醐味(だいごみ)だ。若者たちが近年のブームをけん引している。 出演者も利は大き...
マイナンバーカードに運転免許証機能を持たせて一体化する「マイナ免許証」がスタートした。システム障害で取得手続きなどができない不具合も出て課題が多い船出だ。 マイナ免許証でどれだけ便利になり、行政サービスの効率化で国や自治体の財政が良く...
トランプ米大統領の関税政策が全面的に動き出した。鉄鋼、自動車に続き、国・地域別の「相互関税」も発動された。 日本政府は米側に協議を申し入れ、赤沢亮正経済再生担当相とベセント米財務長官を軸に交渉に入る。関税見直しはもちろん、米側が主張す...
森友学園への国有地売却を巡り、公文書改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんの妻雅子さんに対し、財務省は初回分の計2千ページを超える関連文書を開示した。森友側との交渉・応接記録や省内でやりとりされたメールなどで、これを含め開示予定...
日本経済の難局である。こんな時こそ政府も企業も柔軟かつ機敏な対応を心がけ、国民や従業員の生活をしっかり守ってもらいたい。 トランプ米大統領の発表した高関税措置が、世界の経済と金融・株式市場を揺るがしている。わが国ではインフレによる深刻...
最悪の場合、大分県で約1万8千人が死亡するという南海トラフ巨大地震の新たな被害想定。2012年の前回から対策を進めているものの、想定はほとんど変わらず、増えている項目すらある。減災の柱となるのは早期避難と住宅の耐震化だ。県民一人一人が危機...
民主主義を否定する自らの行為によって、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領がその座を追われることとなった。憲法裁判所の決定によって、尹氏は大統領職を罷免された。韓国で大統領が弾劾訴追によって罷免されるのは、2017年3月の朴槿恵(パククネ...
サクラが乱れ舞う二豊路に、車載マイクを握ったウグイスたちの呼号が連なる。そんな「4年に1度の春」が近づいた。 平成の大合併で2005(平成17)年に誕生した大分県内5市の市長選と3市議選が6日、告示される。自らの生活に直結する最も身近...
トランプ米大統領は自由貿易を「米国に災厄をもたらしてきた」と見なし、関税の壁を張り巡らすことを決めた。だが、世界にとっては災いの始まりではないか。 米国に輸出された製品は値上げを余儀なくされ、インフレ再燃を招きかねない。高関税を課せら...
衝撃的な内容だった。フジテレビの第三者委員会の調査報告書は、元タレントの中居正広氏と女性との間のトラブルは「性暴力」だったと認定した。被害女性は当時、フジのアナウンサーであり「業務の延長線上」で起きたとの見解を示した。 フジが幾つもの...
日米両国が結束を強める方針に異論はない。だが自衛隊が米軍の指揮下に組み込まれるような過度な日米一体化には憂慮を禁じ得ない。歯止めの議論が必要だろう。 トランプ米政権のヘグセス国防長官が来日し、中谷元・防衛相と初会談した。長官は中国の軍...
少数与党下で国会審議が重視された結果、言論の府の再生に近づいたとは言えよう。ただ、政治の信頼回復には「熟議と公開」の国会へさらなる前進が必要だ。 総額115兆円超の2025年度予算が成立した。衆院で修正後、参院が再修正し、衆院の同意を...
法務省は、6月1日の改正刑法施行で懲役刑と禁錮刑に代わり導入される「拘禁刑」の処遇課程を公表した。懲役刑の中心になってきた木工や印刷など刑務作業は義務ではなくなる。その分、個々の特性や事情を踏まえ、若年者の学習や高齢者のリハビリ、薬物依存...
田んぼの貯水力を生かして雨水などを一時的にためる「田んぼダム」。時間をかけて少しずつ排水することで、洪水被害を軽減する。近年多発する台風や線状降水帯などの豪雨対策として全国的に注目されており、大分県でも稲作農家の協力を得ながら導入の輪を広...
年金制度改革法案の国会提出が遅れている。中小企業の負担増が法案に含まれることなどから、参院自民党を中心に夏の参院選への影響を懸念し、選挙後への先送りを求める声が根強いためだ。党利党略だと断じざるを得ない。責任政党としての役割を放棄するもの...
トランプ米大統領が輸入車と自動車部品への追加関税25%を来週発動する。日本車も例外ではなく、国内の基幹産業が打撃を受けるのは必至だ。 高関税政策が米自動車産業の保護を目的としているのははっきりしており、到底認められるものではない。一方...
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、東京地裁が国の請求を認め、宗教法人法に基づく解散を命じた。長年の悪質な献金被害を認定し「甚大で看過できない」と判断した。 同法が定める「法令違反」を理由とする解散命令は、地下鉄サリン事件を起...
同性婚を認めていない現行法制の憲法適合性が争われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁が「違憲」と断じた。 これで2019年に全国で提起された第1次訴訟5件の高裁判決が出そろい、すべて違憲判断となった。今回の大阪地裁判決は一審段階で唯一の合憲...
日本と中韓両国の間には、近隣外交に特有の難しさが横たわる。最近まで両国との関係は冷え込んでいたが、対話機運を高める動きは歓迎だ。関係改善の兆しを逃さず、東アジアの安定化へ協力を深化させてほしい。 岩屋毅外相と中国の王毅外相は東京都内で...
国際オリンピック委員会(IOC)の次期会長にカースティ・コベントリー氏(ジンバブエ)が選ばれた。131年のIOCの歴史で初の女性会長、欧米以外からの選出も初めてだ。41歳という若い新リーダーが、課題山積の五輪ムーブメントに新風を吹き込むこ...
斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑などを内部告発した元県幹部の男性が懲戒処分となり後に亡くなった問題で、県の第三者委員会は調査報告書を公表した。告発内容は公益通報者保護法による保護の対象とし、公益通報として扱わず処分した県の対応について「明...
石破茂首相が繰り返し述べてきた政治信条の真贋(しんがん)が問われている。首相のみならず歴代の首相にも疑念が広がった「政治とカネ」問題への対応に関してである。 自民党議員との会食に合わせ、時の首相側から高額の商品券が配られていた。国民の...
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