「故意」か「過失」か。大分市の時速194キロ交通死亡事故の裁判員裁判で、大分地裁は被告の男(23)に悪質運転に適用される危険運転致死罪に相当するとして懲役8年の実刑判決を言い渡した。危険運転の適用要件の曖昧さからその可否が争われた裁判。発...
昨年10月以来続いてきたイスラエルとレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘を巡り、60日間の停戦合意が成立した。レバノンで約3800人が死亡、100万人超の避難民が発生した人道危機を前に、戦闘停止は急務だった。双方の決断と米国などの仲介...
政治とカネの問題の抜本改革なくして、信頼回復は困難だ。その場しのぎの対応は通用せず、与党の覚悟が問われる。 自民党は政治資金規正法の再改正に向けた基本方針をまとめ、与野党協議が始まった。最大の争点は企業・団体献金の扱いだ。野党は「腐敗...
アゼルバイジャンで開かれていた気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は、発展途上国の温暖化対策のため先進国が2035年までに官民合わせて少なくとも年3千億ドルを支援するとの目標で合意した。 一定の成果ではあるが、既に気候危...
いま国民に不可欠な政策は何かの議論をなおざりにして、政権延命と党利党略を優先した結果だろう。総花的で焦点が定まらず、歳出規模が膨張したのは当然と言える。 政府は経済対策を閣議決定した。物価高対策として低所得世帯への給付金に加え、ガソリ...
現代日本を代表する詩人の谷川俊太郎さんが92歳で死去した。70年を超える活動で詩の世界はもとより、翻訳、音楽、映画など多彩な分野に足跡を残した。表現は軽やかに見えるが、反戦の思いを込めた詩などで現代社会に厳しい視線を向ける人でもあった。言...
スポーツの国際舞台でこれほど高く評価され、愛される日本選手がこれまでいただろうか。大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手がナ・リーグの最優秀選手(MVP)に選ばれた。ア・リーグ時代の2度の受賞に続く2年連続3度目の栄誉だ。東北地方出身の青年が...
ソニーグループが出版大手KADOKAWAを買収するための協議に入った。音楽、映画、ゲームなどエンターテインメント事業の先駆けであるソニーはKADOKAWAの持つ豊富なアニメや動画に魅力を感じているのだろう。 グループの売上高が13兆円...
米共和党のトランプ次期大統領が、新政権の閣僚候補を次々に発表している。対中強硬路線や地球温暖化対策の拒否など政権の方向性が示される一方、司法長官など主要ポスト候補の資質に早くも疑問符が付いた。 上院での指名承認は波乱含みだが、トランプ...
兵庫県知事選で、前職の斎藤元彦氏が当選を果たした。知事だった時に自らのパワハラ疑惑などを告発する文書が配布され、側近らに告発者の特定を指示。県の公益通報窓口にも通報していた元県幹部の男性を懲戒処分にしたが、男性は「死をもって抗議する」との...
日中両国の間には諸懸案が山積みのまま放置されている。一層の対話促進につなげ、冷え込んだ関係を仕切り直すきっかけにしてもらいたい。 石破茂首相が中国の習近平国家主席と訪問先のペルーで初の首脳会談に臨んだ。両氏は東京電力福島第1原発の処理...
日弁連が事務局を担う「日本の死刑制度について考える懇話会」が「現行制度には放置できない数多くの問題があり、このまま存続させてはならない」とし、国会などに検討組織を設置して存廃や改革を議論するよう求める報告書をまとめた。 民間の懇話会で...
厚生労働省は、パートなど短時間労働者が厚生年金に加入しなければならない収入要件「106万円の壁」を撤廃する方向で調整している。勤務先の従業員数を51人以上とする要件もなくす。学生ではなく労働時間が週20時間以上なら収入を問わず加入が必要に...
国内の障害者スポーツの草分けとなった「大分国際車いすマラソン」が17日、大分市で開かれる。43回目の今年は県内からの31人を含め国内外の計223人がエントリー。福祉先進県を標ぼうする大分ならではのホスピタリティで、己の限界に挑む選手たちを...
文部科学省の調査で、2023年度に全国の小中高校などが認知したいじめは73万2568件に上る。子どもの心身に深刻な被害が及んだり、長期欠席につながったりした「重大事態」は1306件。22年度から4割余りも増え、初めて千件を超えた。いずれも...
米大統領選で返り咲きを果たした共和党のトランプ前大統領は第1次政権で貿易、安全保障など多くの分野で対中強硬姿勢をとり、新冷戦といわれるほど対立が激化した。第2次政権でその姿勢をさらに強めれば、激烈な大国間競争になる。世界への影響は大きく、...
東京電力は福島第1原発2号機で、溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的な取り出しを完了したと発表した。 デブリの採取は2011年3月の原発事故後初めてで、廃炉に向け一歩前進したといえる。だが今回はごくわずかで、全量を取り出せる見通しは立っ...
自民党の石破茂総裁が衆参両院の首相指名選挙で再び首相に選出され、第2次石破内閣を発足させた。 先の衆院選で自民、公明両党の与党が過半数を割った。自民派閥の裏金事件への真摯(しんし)な反省がうかがえない石破首相の政権運営に、有権者が不信...
高齢化の進展に伴い、認知症やその疑いのある人の行方不明が後を絶たない。命に関わる危険性があるものの、介護に当たる家族が常時見守り続けることは難しい。誰もがなり得る認知症への理解を深め、行方不明者が出た際、地域ぐるみで捜す体制の拡充が求めら...
自民、公明の与党は国民民主党と政策協議を始めた。国民の要求する所得税「103万円の壁」の引き上げと、「トリガー条項」の凍結解除を含む価格引き下げのためのガソリン減税が焦点だ。 しかしいずれも内容次第では大幅に税収が減ったり、国民間の不...
米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利を収めた。中国やロシアなどの覇権主義国が従来の世界秩序を変える姿勢を強める中で、米国第一主義を掲げる同氏の再登板は国際社会に不安と動揺を与えている。 親密な同盟国を自任する日本はトランプ政権に...
米国の大統領選で、共和党候補のトランプ前大統領が勝利した。2度の弾劾訴追に加え議会襲撃など4事件での起訴、2度の暗殺未遂を経験した異例ずくめの政治家が、世界で最も重要な権力の座に再び就く。 トランプ氏は、東部ペンシルベニア州など重要な...
北朝鮮が、ウクライナ侵攻を続けるロシアへ、大規模な派兵を進めているとみられる。侵略への加担という国際法を踏みにじる行為で、決して許されない。ロシアと北朝鮮の軍事協力が深まれば、朝鮮半島情勢に影響を与える可能性が高く、東アジアの安全保障を揺...
東北電力の女川原発(宮城県女川町、石巻市)2号機が再稼働した。 2011年の東京電力福島第1原発事故から13年7カ月。事故の後、再稼働はこれで13基目だ。女川原発は東日本大震災の被災地にある原発として初、また福島第1原発と同じ構造の沸...
国連の女性差別撤廃委員会が、日本の女性政策について「最終見解」を公表した。8年ぶりとなる日本への対面審査を経て、選択的夫婦別姓を導入するよう勧告した。 国内外から「差別だ」と指摘されている状況を、日本政府は放置してきた。女性を差別し、...
首都圏を中心に闇バイト強盗が相次ぎ、社会への大きな脅威になっている。交流サイト(SNS)の「高額報酬」「即日即金」といった投稿で集められた若者が複数で押し入り、住人を縛り上げて暴行。主に一戸建てに住む高齢者を狙う。横浜市の事件では、75歳...
自民党と国民民主党は幹事長会談で、与野党の枠を超えて政策協議を開始することで一致した。両党は、公明党を交えて政策ごとに連携する「部分連合」を模索していくことになる。 先の衆院選では、自民派閥の裏金事件に対する有権者の反発が収まらず、自...
一向に重い腰を上げようとしない立法府に、司法が繰り返し対応を迫ったと言えるだろう。 同性婚を認めない現行法制の適否が争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁が「違憲」と断じた。同種訴訟6件のうち、高裁レベルの判決は2例目だが、1例目の札幌...
今回の衆院選がもたらした与野党の議席が伯仲する状況は、政治に緊張感を生み、国会を再生させるチャンスだ。自民党1強体制の終焉(しゅうえん)を契機に、本来の使命である熟議を通じて幅広い合意を追求する場に脱皮してもらいたい。 2012年の衆...
米大統領選の投開票が11月5日に迫った。民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領が、歴史的な接戦を展開中だ。求められるのは国民の深刻な分断に対する政治の処方箋だが、過激な発言や個人攻撃が目立ち、融和の道や新しい米国の姿は浮かんでこ...
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