中国が人工知能(AI)の開発レースに参入してきた。新興企業「DeepSeek(ディープシーク)」が作り上げた生成AIの開発費用は米国企業よりはるかに少なくて済んだという。 米国勢の背中を追う中国の開発企業が突然姿を現し、金融市場や研究...
中国やロシア、北朝鮮の軍事的動向によって日本周辺の安全保障環境がこの10年で激変したことは間違いない。戦後80年の節目に当たる今こそ平和を誓うメッセージが求められるのではないか。 歴代内閣は戦後50年、60年、70年と10年ごとに首相...
2023年の衆院補選の演説会場で岸田文雄前首相らに向けて手製の爆発物を投げ込んだとして、殺人未遂など五つの罪に問われた木村隆二被告(25)の裁判員裁判が、和歌山地裁で結審した。 被告が捜査段階で黙秘したため注目された審理では、被告側は...
公的医療保険の「高額療養費制度」見直し方針を巡り、がん患者団体などが反発し、福岡資麿厚生労働相は方針の一部修正を検討する意向を示した。厚労省は思い切って負担上限額引き上げ幅を縮小するべきだ。同省がまとめた見直し案では患者の負担増が過重とな...
衆院で審議中の2025年度予算案を巡る修正論議が本格化している。所得税が生じる「年収の壁」引き上げ幅や所得制限のない教育無償化のほか、患者負担が増える高額療養費制度見直しの是非も焦点だ。 政府と与野党には、政治の信頼回復のため、国民が...
長野県で2015年に中学3年の男子生徒が車にはねられ死亡した事故の上告審判決で、最高裁は道交法違反(ひき逃げ)罪に問われた男性被告について、二審無罪判決を破棄し、逆転有罪とした。懲役6月の一審判決が確定。すぐ救命措置をせず、飲酒運転を隠す...
米価高騰を受け農林水産省が政府備蓄米の放出を決めた。週内にも入札の実施概要を明らかにするという。放出量、売り渡し先、価格などについて透明性を持って精緻に設定し、米価安定に対する実効性を確保しなければならない。 米価安定とはただ単に安値...
日米首脳の信頼醸成に向け無難なスタートを切ったと言えるのではないか。何が飛び出すか戦々恐々としていた石破茂首相はひとまず胸をなで下ろしているだろう。 米首都ワシントンを訪れた首相はトランプ大統領と初めて会談し、自由で開かれたインド太平...
日本を代表する自動車メーカー、ホンダと日産自動車の経営統合交渉は失敗に終わったようだ。日産のリストラ策の甘さにいら立つホンダと、対等に近い立場での統合にこだわる日産のメンツがぶつかり合った。 交渉を始めてまだ1カ月余りだが、互いの技術...
厚生労働省は、今国会への提出を目指す年金制度改革関連法案の概要を与党に示した。柱の一つは、週20時間以上働くパートら短時間労働者を厚生年金に加入しやすくする適用拡大だ。...
トランプ米大統領がパレスチナ自治区ガザを「長期的に所有する」と主張。住民については、周辺国など域外の安全な場所に恒久的に再定住させるべきだと提案した。国際秩序に対する挑戦であり、提案は撤回するべきだ。 米国は、イスラエルとイスラム組織...
埼玉県八潮市の県道交差点で、下水道管の破損が原因とみられる大規模な道路陥没事故が起きた。陥没は周囲に広がり、周辺住民の避難や、下水道網でつながる12市町の約120万人に下水道の利用自粛を呼びかける事態にまで拡大。老朽化したインフラの維持管...
トランプ米政権は中国とカナダ、メキシコへの関税発動を発表、関係国の関税を巡る駆け引きが始まった。貿易戦争が激化すれば世界経済への打撃は大きい。とりわけ米中両国には大国として冷静な対応を求めたい。 中国に10%の追加関税、カナダとメキシ...
ミャンマー国軍がクーデターで実権を握って4年。軍事政権は「自由で公正な総選挙」を実施して民政復帰を達成すると主張している。だが民主派の政党は解散させられており、民主派を排除して支配の正当化を狙う形ばかりの選挙は論外だ。 軍政は有権者名...
2025年度予算案が衆院予算委員会で実質審議入りした。少数与党の政治状況は、野党から見れば国会運営の主導権を奪う好機である。形骸化が叫ばれる審議を活性化するため、政府与党だけではなく野党各党も姿勢が問われる。 特に野党第1党の立憲民主...
森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが、財務省に関連文書不開示の決定取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は決定を違法として取り消した。「自死の真相を知りたい」と、5年前...
有罪が確定した裁判をやり直す再審制度の見直しを求める声が、かつてないほど高まっている。衆参350人以上が名を連ねる超党派の議員連盟は昨年3月の設立以来、法務省や日弁連、再審事件の関係者にヒアリングして議論を重ねた。それを踏まえ、議員立法で...
物価高が続く中で春闘が事実上スタートした。過去2年続いた賃上げの勢いをさらに強め、中小企業や非正規社員の賃金を改善することを目指さねばならない。 業績好調が続く大企業の責任は重い。部品・素材メーカーや下請けの中小企業に対し、人件費の増...
通常国会は、衆参両院の各党代表質問を皮切りに論戦がスタートした。 米国第一主義を先鋭化させた第2次トランプ政権発足で不透明感を増す世界。国内でも厳しい経済財政運営、政治とカネ問題などに少数与党で直面し、石破茂首相は「守り」の答弁に終始...
障害があっても、周囲の適切な配慮があれば健常者と同じように働くことができる。そんな社会が当たり前になることを願う司法の大切なメッセージが込められているように思う。 聴覚に障害があった11歳の女児が交通事故で亡くなり、将来得られたはずの...
トランプ米大統領は地球温暖化防止のためのパリ協定からの離脱を表明した。第1次政権当時の8年前と同じ行為だが、気候危機は当時よりはるかに深刻だ。今後10年の取り組みが極めて重要とされる中、先進国最大の温室効果ガス排出国のトップによる無責任な...
全国的に建物火災が相次いでいる。厳しい冷え込みが続くこの時期は暖房器具を使う頻度が高まる。加えて空気の乾燥で火の回りが早く、強風にあおられて延焼する恐れもある。最近はコンセントや屋内配線が発火源となるケースが増えており、防火意識を高める必...
日銀は、政策金利を0・25%から0・5%へ引き上げることを決定した。昨年春に大規模金融緩和を手じまいして以来、3度目の利上げとなる。足元のインフレを考えると実質的な金利水準はまだ深いマイナスで、過度の円安など経済に悪影響が及んでいる。日銀...
24日召集の通常国会では、政治とカネ、所得税を巡る「年収103万円の壁」問題などと併せ、全国民が受け取る基礎年金(国民年金)の底上げをはじめとする年金制度改革が焦点だ。 基礎年金底上げは会社員らが加入する厚生年金の積立金を使う上、国庫...
フジテレビの対応は後手に回り、信頼回復に向けた記者会見も失敗に終わった。その後、スポンサーが次々にCMを差し替えて離反する動きが広がり、企業統治不全を露呈した。早急に全容を解明し、うみを出し切るべきだ。 昨年末に「週刊文春」が中居正広...
米国の第2次トランプ政権は、予想通りの衝撃を内外に与え幕開けした。非常事態宣言の連発で危機感をあおり、国境警備強化と化石燃料の増産を表明。関税強化の方針も明確にした。 性急な政権運営で、既存の制度や手法の否定と破壊に突き進むだけでは、...
消えたのは顧客から預かった現金や金塊だけではない。銀行への信頼も失われてしまった。不心得な行員による犯罪というだけで片付けられない深刻な事態だ。 三菱UFJ銀行の支店で営業課長などを務めた女性が、貸金庫にしまわれていた顧客の金品を盗ん...
発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が全国で検出されている問題で、環境省は、定期的な水質検査と基準値を超えた場合の改善を法律で義務付ける方針を打ち出した。汚染は日々の飲み水に関連するものだけに市民の不安は大きい。不安解消のため...
同盟国の信頼を踏みにじる言動だ。米国のトランプ次期大統領は、就任を約2週間後に控えた7日の記者会見で武力行使をちらつかせながら、デンマークに対してグリーンランドを「売れ」と言い出した。 北極に近い世界最大の島グリーンランドは米空軍基地...
イスラエルとイスラム組織ハマスが、パレスチナ自治区ガザの停戦に合意した。15カ月を超える戦闘がもたらしたむごたらしい現実を改めて振り返ると、手放しで喜ぶことはできないものの、憎悪と暴力の連鎖を断ち切るために重要な節目だ。 履行開始は1...
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