犠牲者を慰霊し平和を誓う式典の趣旨にそぐわない政治的問題に発展してしまった。欠席は外交的節度を欠いた過度の意思表示と受け取られかねない。 長崎市が9日の「原爆の日」に主催する平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったことを理由に、先進7...
年間1千万台を超す生産規模に、検査の現場や企業統治が追い付いていないのではないか。 量産車の型式指定を巡る不正で、トヨタ自動車が国土交通省から是正命令を受けた。グループの日野自動車で問題が発覚してから2年余り。終わりが見えない不正の連...
東京市場で5日、株価が史上最大の下げ幅を記録した。米国の景気懸念に加え、ドル円相場が急速に円高へ振れたためだ。しかし株価が反映する企業業績はなお堅調で、景気は保たれている。一時的な相場変動に動揺せず、実体経済を冷静に見極めることが肝心だ。...
広島は6日、原爆の日を迎えた。9日は長崎に原爆が投下された日だ。 1945年の米国による投下から79年。被爆者は核兵器廃絶に向けた取り組みの先頭に立ってきた。核を巡る国際情勢が厳しい中、被爆者の高齢化が進んでおり、体験の継承と運動継続...
海上自衛隊で4人が詐欺容疑で逮捕された事実を海自幹部や防衛官僚が木原稔防衛相に報告せず公表も遅れた。あきれた隠蔽(いんぺい)体質である。戦前の反省に立つ文民統制を揺るがせてはならない。 衆参両院で閉会中審査が開かれたが納得のいく説明は...
自民党派閥裏金事件のけじめもつかない状況で、今度は公設秘書の給与を国から詐取したとする詐欺容疑で広瀬めぐみ参院議員(自民離党)の議員会館事務所などが家宅捜索を受けた。 有権者に違法な香典を渡したとされる公選法違反容疑での堀井学衆院議員...
柔道男子66キロ級で連覇を果たした阿部一二三選手は、大歓声を浴びての金メダルに「これぞ五輪!」と感激していた。熱戦が続くパリ五輪が盛り上がっている。日本勢のメダルラッシュが猛暑の列島に明るいニュースを届けている。 コロナ禍で無観客開催...
政府は、中長期の財政試算と2025年度予算の概算要求基準を公表した。物価高を主因に税収が増えるため、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が目標の25年度に黒字化する見通しという。一方の要求基準は、賃上げ促進や物価高対策で金額を示さ...
日銀は、政策金利の追加利上げと国債買い入れの減額計画を決定した。後者は予告通りだが、利上げを予想した関係者は直前まで多くなかった。異次元緩和を終えながら、日銀が金利正常化の意図をあいまいにしてきたためだ。低い政策金利が円安とインフレの弊害...
唯一の戦争被爆国として核軍縮を主張しながら、米国の「核の傘」に頼る―。日本の安全保障政策が抱える矛盾が改めて問われることになる。 日米の外務・防衛担当閣僚は、米国が核を含む戦力で日本防衛に関与する「拡大抑止」に関する初会合を東京で開き...
原子力規制委員会は日本原子力発電が再稼働を目指す敦賀原発2号機(福井県)に関する審査会合を開催。「原子炉直下に活断層がある可能性は否定できず、原発の新規制基準に適合しない」と結論づけた。2号機は東京電力福島第1原発事故を受けて定められた新...
厚生労働省の中央最低賃金審議会は2024年度の最低賃金目安額を現在の全国平均時給1004円から1054円に上げると決めた。43円増で千円台に乗った昨年度を上回る50円増と過去最大の引き上げ幅だ。 だが、物価変動を加味した実質賃金は5月...
人口減少や東京一極集中に歯止めをかけようと「地方創生」の取り組みが始まって10年。大きな流れを変えるには至っていない。地方の活力を最大限に生かすためには、若者や女性が真の意味で活躍できる環境づくりが欠かせない。 地方創生は第2次安倍晋...
新型コロナウイルスの感染が全国で急拡大し、大分県医師会も「第11波」に入ったとみて注意を呼びかけている。厚生労働省の26日の発表によると、全国の15~21日の1定点医療機関当たりの患者数は13・91人。自治体ごとに定点の指定方法が違うため...
パリ五輪が26日(日本時間27日未明)に開幕する。前回東京大会は新型コロナウイルスの流行によって1年延期の上に無観客開催。汚職、談合事件も発覚し、五輪は大きく傷ついた。久しぶりに満員の観衆の下で開かれるパリ大会は「五輪再生の場」となるのか...
自民党が派閥の裏金事件で増幅した政治不信を払拭できない中、今度は所属していた衆院議員に公選法違反容疑が浮上した。 自民内ではこのところ9月の総裁選をにらんだ言動が目立っているが、最優先で取り組むべきは政治への信頼回復ではないか。そのた...
兵庫県の斎藤元彦知事を巡るパワハラ疑惑や「おねだり体質」を告発する文書を配り、停職の懲戒処分を受けた後に元県幹部の男性が死亡した問題で県議会の百条委員会は、男性が残した斎藤氏の音声データや陳述書を調査資料として採用した。来月下旬にも関係者...
11月の米大統領選で再選を目指していた民主党のバイデン大統領が、撤退を表明した。返り咲きを狙う共和党のトランプ前大統領は、暗殺未遂を乗り切った勢いを背に民主党たたきを加速させており、民主党は対抗できる後継候補の早急な選定を迫られている。 ...
障害を理由に不妊手術を強いた旧優生保護法を違憲とし、国の賠償責任を認定した最高裁大法廷判決を受けて、新たな補償の制度づくりが本格化する。判決は、不法行為から20年で賠償請求権が自動的に消滅する「除斥期間」によって国を免責するのは「著しく正...
玖珠、九重、由布市湯布院の3町にまたがる陸上自衛隊日出生台(ひじゅうだい)演習場を含む全国各地で28日から8月7日まで、日米共同訓練が実施される。9回目となる日出生台での訓練は昨年10月以来。米海兵隊と陸自隊員計約4千人が参加する予定。今...
11月に行われる米大統領選に向け、共和党の正式候補に指名されたトランプ前大統領が、中西部ウィスコンシン州の党大会で受諾演説を行った。 自身を標的とした暗殺未遂事件後初めてとなる注目の演説で、トランプ氏は持ち前の攻撃的な発言を抑制、困難...
小中高校などで相次ぐいじめ自殺を巡り、初期対応や調査を担う学校・教育委員会と遺族の対立が絶えない。北海道旭川市で2021年、中2女子が凍死して発見された問題で市の再調査委員会は先月末、凍死は自殺とし、いじめとの因果関係を認定した。22年に...
仕事をしながら家族などの介護を担う「ビジネスケアラー」が増加している。子どもが日常的に家事や家族の世話を担う「ヤングケアラー」に比べなじみの薄い言葉だが、介護離職や労働効率の低下につながり、企業や事業所の経営や存続の危機につながるリスク要...
政府は、新型コロナウイルス禍を教訓に、今後の重大な感染症へ対応する新たな「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」を決定した。 2009年の新型インフルエンザ流行を受けた13年策定の計画は、国内で感染症拡大のピークを遅らせて医療提供体制...
許しがたい凶行だ。約4カ月後の大統領選に向け、演説中だったトランプ前大統領を狙った暗殺未遂事件は、民主主義を踏みにじる政治的暴力であり、絶対に容認できない。 聴衆の市民が犠牲になったことも忘れてはなるまい。故安倍晋三元首相が演説中に銃...
自衛隊の活動範囲をどこまで広げるのか、歯止めの議論が求められる。 日本、フィリピン両政府が、自衛隊と比軍の相互往来を容易にする「円滑化協定(RAA)」に署名した。両国間の安全保障・防衛協力を一層強化する。威圧的な海洋進出を続ける中国を...
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)による被害回復を進める上で大きな後押しとなるだろう。 教団に巨額の献金をした元信者の女性(故人)が生前、署名押印した「返金や賠償を求めない」とする念書の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁が「公...
企業や公的機関を標的にしたサイバー攻撃の被害が深刻化している。個人情報や取引契約などが盗まれ、勝手に公表されれば、ビジネスが危機に直面することもある。 被害情報をできるだけ共有し、ウイルスの侵入を防ぐための投資を急がねばならない。 ...
候補者や有権者の良識の上に立つ制度が、大きく揺らいだ選挙だった。 過去最多の56人が立候補した東京都知事選で、選挙ポスター掲示板の一部に、選挙とは無関係の同一デザインのポスターが大量に張り出され、異様な光景が出現した。 キックボク...
フランス国民議会(下院、577議席)総選挙は、第1回投票で過半数議席をうかがう勢いだった極右、国民連合(RN)が決選投票で失速、第3勢力に沈んだ。移民排斥や自国第一主義を主張する極右に有権者が危機感を抱き、権力奪取にかろうじて「ノン」を突...
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