4日投開票された英下院総選挙(定数650)で、与党保守党は200議席以上減らし野党労働党に大敗、14年ぶりに政権を明け渡した。「英国病」の再来すら指摘される経済と社会の立て直しが急務だ。 選挙結果は、忍耐強さを誇りとする英国民が政治に...
政府が環境政策に取り組む際の長期的な指針となる第6次環境基本計画が閣議決定された。 現代社会は、気候変動、生物多様性の損失、プラスチックに代表される汚染の三つの危機に直面していると指摘。人類の活動が環境に与える影響について、地球の許容...
厚生労働省は長期的な年金給付の持続性を点検する「財政検証」の結果を公表した。これまでの経済成長の実績を踏まえると、現役世代の平均手取り収入と比べた約30年後の給付水準は50・4%となる。足元では61・2%だから2割近く低下するが、政府は将...
誰の目にも検察人事への不当な政治介入と映った問題の一端を、司法が明確に認めたと言えよう。 安倍晋三内閣が4年前、政権に近いとされた黒川弘務東京高検検事長(当時)の定年延長を唐突に決めたことを巡る訴訟の判決で、大阪地裁が「(定年に関する...
旧優生保護法下で障害などを理由に不妊手術を強いられた人たちが国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷は国の賠償責任を認定した。不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用し、国が賠償責任を免れるのは「著しく正義・...
12都県で障害者グループホームを運営する大手の「恵(めぐみ)」に組織的な不正があったとして、厚生労働省は事業所指定の更新を認めず、順次運営できないようにする「連座制」を適用すると発表した。障害者総合支援法に基づく処分。全104施設中、99...
老後も多くの人たちがペットと暮らし続けたいと願う。だが、年を重ねるにつれ日々の散歩や排せつ物の処理など負担が重くなる。飼い主の急病や死去によりペットの行き場がなくなる事例が増えている。先々の飼育不能を想定した備えが必要だ。 一般社団法...
能登半島地震から6カ月。インフラ復旧は進んできた。早期の復興のためには、全半壊した建物の公費解体を急がねばならない。石川県は約2万2500棟を想定し、2025年10月までの完了を目標としている。その達成をまず目指したい。 加速のため、...
政府は、終了した電気・ガス代の負担軽減策を再開する。真夏の冷房需要への支援が目的という。併せてガソリン代への補助は年末まで続ける。秋には経済対策をまとめ、年金世帯や低所得者への給付金支給を検討するとしている。 岸田文雄首相が唐突に表明...
同じ過ちを何度繰り返すのか。 沖縄に駐留する米空軍兵が少女を誘拐し、自宅でわいせつな行為をしたとして、那覇地検が3月に不同意性交などの罪で起訴していた。ほかにも沖縄米軍所属の海兵隊員が別の女性に性的暴行をしたとして沖縄県警に5月、逮捕...
鹿児島県警は、刑事司法の一翼を担う資格がある組織なのか。大きな疑問符が付く事態である。それほど深刻な問題が噴出している。 警察官の盗撮事件など複数の不祥事に関する内部文書を札幌市のライターに郵送したとして、前生活安全部長が国家公務員法...
銀行が取引先企業の情報を勝手に系列証券に漏らすのは、金融商品取引法で禁止されている。銀行と証券の業務を区分するための基本ルールだ。 三菱UFJ銀行と系列証券2社がこの規制を破り、金融庁から業務改善命令を受けた。企業の意向に耳を貸さず、...
皇族数確保策を巡り、衆参両院の正副議長による各党派の意見集約が難航している。「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持し公務を担う」「旧皇族の男系男子を現皇族の養子にし皇族に復帰してもらう」という政府の有識者会議が示した2案を軸に5月下旬から協...
国立大の授業料値上げに向けた動きが目立つ。2004年に国の行政機関から法人となって以降、経営を支える国からの運営費交付金が減り続け、評価に基づく傾斜配分も導入され、不安定化したことが背景にある。 教員は外部の研究費や国の補助金といった...
政府は、経済財政運営の指針となる今年の骨太方針を閣議決定した。デフレからの完全脱却と成長力の底上げ、そして財政健全化目標の堅持を盛り込んだのが特徴だ。しかし施策に新味は乏しい。骨太の描く将来像の実現には新しい発想と政治的抵抗の打破が必要と...
令和の今に生きる私たちが新聞やテレビで戦争のニュースを見ない日はない。ウクライナとパレスチナ自治区ガザで戦火が広がる。かつての沖縄もそうだった。23日は太平洋戦争末期に旧日本軍と米軍の沖縄戦が終結した「慰霊の日」だ。全戦没者追悼式が開かれ...
ロシアのプーチン大統領が北朝鮮を訪問し、金正恩朝鮮労働党総書記と軍事同盟色が強い「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。北朝鮮が日米韓と軍事衝突する事態を想定し、「ロシアの介入」を示唆してけん制する狙いのようだ。 ウクライナ軍事...
大規模災害など非常時に地方自治体への国の指示権を拡大する改正地方自治法が成立した。新型コロナウイルス禍で行政が混乱したのを教訓に、国が迅速にリーダーシップを取れるようにする趣旨だと政府は言う。 だが、これまで国の指示権行使は災害対策基...
前代未聞の巨額裏金事件を起こしながら、真相解明は素通り、再発防止のための改正政治資金規正法も抜け穴だらけで、検討項目をずらりと並べただけ。自民、公明両党の政権担当能力に大きな疑義が突き付けられているのは明らかだ。 このまま政治への信頼...
外国人労働者の受け入れを拡大しようと、技能実習に代わる新たな制度として「育成就労」を創設する改正入管難民法などが成立した。技能実習では長時間労働や賃金不払い、暴行と、さまざまな問題が噴出。原則として職場を変えられなかったため、耐えきれず失...
異次元緩和は役割を終えたと判断したのだから、金融政策の正常化を遅滞なく整然と進めねばならない。日銀が、長期金利抑制のため実施してきた国債買い入れの減額方針を決めたのは当然だ。一方で、大規模金融緩和の終結後も政策金利は極めて低く、円安と物価...
イタリアで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)は焦点のウクライナ支援を巡り、制裁で凍結したロシア資産の活用を明記した首脳声明を発表し、閉幕した。 長期の援助に道筋を付け、財政的に疲弊したウクライナの後押しとなる。欧米の支援疲れが...
経団連は、結婚に際し夫婦がそれぞれの姓を名乗れる選択的夫婦別姓の早期実現を求める提言を公表した。「伝統的家族観」を重視する自民党保守系議員の反対は根強く、国会での議論は停滞したままだ。女性の社会進出で、民法が定める夫婦同姓は企業にとっても...
政治への信頼が失墜しているにもかかわらず、これ以上放置するのは許されず、国民に対する背信だ。自民党は、民意と真摯(しんし)に向き合い、この国会の会期を延長してでも改革を実現させなければならない。 衆参両院議員に歳費(給与)とは別に、月...
健康を守るための食品やサプリメントは安全が最優先だ。被害が起きた場合の迅速な通報や、製造工程の厳しい管理は欠かせない。 小林製薬のサプリで生じた健康被害を巡り、政府がまとめた再発防止策は、この当たり前のことを機能性表示食品に求めた。消...
「もしトラ」「ほぼトラ」と、今秋の米大統領選で「米国第一主義」を掲げるトランプ前大統領の再登板の可否に注目が集まるが、欧州政治では既に、「自国第一主義」の地殻変動が始まっているようだ。 欧州連合(EU)の欧州議会選挙(定数720)で、...
政府は深刻化するサイバー攻撃の被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」に関する有識者会議の初会合を開き、早期法制化に向けた検討を加速させた。 国の機関や重要インフラへの攻撃に危機感を抱き、安全保障政策上の重要課題と位置付け、欧米並みの体...
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