政府は物価高対策の一環として、自治体に「おこめ券」の配布を促している。 だが消費者は負担軽減を実感できるのだろうか。中長期的な生産者支援にも結び付きそうにない。コメの消費を下支えするためだとしても、あまりに小手先のやり方だ。次の一歩に...
政府の予算案や法案、政策を厳しくチェックする審議は、国会の重要な使命だ。その意識がいま、希薄になっているのではないか。 高市早苗首相にとって就任後初めての臨時国会。最大の焦点は、物価高対策を含む2025年度補正予算だった。そもそも補正...
首都直下地震の新しい被害想定がまとまった。最悪の場合は1万8千人が死亡し経済被害は82兆円超に上るという。大津波を伴う南海トラフ巨大地震に比べると少ないものの、東京を直撃するだけに国難として捉え十分に備えなければならない。 2013年...
高市早苗政権が初めて臨んだ2026年度税制改正大綱が決まった。所得税が生じる「年収の壁」を大幅に見直すなど減税策が際立つ内容だ。 国民生活に一定の恩恵があるのは確かだが、野党の要求する減税策をここまで丸のみしたのには疑問が残る。政権維...
表面的な金利水準は高くとも、物価高を抑えるにはまだ力不足だ。日銀はインフレを抑制し、持続的な景気拡大へつながる金融政策に努めてもらいたい。 日銀は金融政策決定会合で、政策金利の0・75%への引き上げを決定した。昨春にマイナス金利をはじ...
安倍晋三元首相銃撃事件の裁判員裁判が結審した。計15回にわたった奈良地裁の審理で明らかになったのは、事件そのもの以上に山上徹也被告(45)のあまりにも壮絶な生い立ちであった。 いかなる理由があろうとも、殺人が許されないことは論をまたな...
厚生労働省は子どもを産み、育てやすい社会を目指す少子化対策として出産にかかる費用を無償化する方針を固めた。医療機関ごとに異なる分娩(ぶんべん)費用に全国一律の基本単価を設け、全額を公的医療保険で賄う方向だ。 来年の通常国会に関連法案を...
大分市の佐賀関大火はあす18日で発生から1カ月となる。官民の支援が続いているものの、現場はまだ本格復旧の緒に就いていない。これから先の「復興」には力強さと迅速さが不可欠だ。そのためにも高市早苗首相に被災地の視察を求めたい。 2016年...
国際紛争を助長しないために設けた歯止めが失われようとしている。平和国家の姿勢が問われる重大な方針転換だ。結論ありきの手続きにも疑問を抱かざるを得ない。 自民党は、高市早苗首相の意向を踏まえ、国家安全保障戦略など安保3文書の改定作業を前...
厚生労働省は、医療費の支払いに月々の上限額を設けて患者の負担を和らげる「高額療養費制度」の見直し案を専門委員会に示した。昨年末にまとめられた厚労省案は極端な負担増に批判が相次ぎ、今年3月にいったん凍結。患者団体代表も専門委に参加し、新たな...
「仲の良かった親友グループから避けられるようになった。つらい。この世からいなくなりたい」「家と学校が苦手。今すぐ死にたい」――。 深刻な悩みを抱えた小中高校生らが電話やオンラインでSOSを発する。その受け皿になっているのが、18歳以下...
家計の安定や暮らしを守る上で欠かせない「金融リテラシー」で、大分県は全国水準を大きく下回っている。金融広報中央委員会の2022年調査では金融知識の正答率が下位に沈み、過去の調査より低下傾向が続いている。県民の金融リテラシー不足は地域全体の...
青森県東方沖を震源とする地震で、気象庁が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。2022年に運用が始まってから初めてで、1週間ほど注意が必要になる。 日本海溝・千島海溝沿いで大きな地震が発生すると、その影響で新たな大規模地震が起...
台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁に端を発した日中対立が、偶発的衝突の一歩手前までエスカレートした。これ以上緊張を高めてはならない。両国は首脳対話を通じた事態の沈静化を急ぐべきだ。 沖縄南東の公海上空で、中国海軍の空母から発艦した戦...
「住み慣れた地域で再び暮らしたい」--。大分市の佐賀関大火(11月18日発生)の被災者から、現場周辺での仮設住宅建設を望む声が出ている。住民に寄り添うためにも大分市と大分県は早期整備を急ぐべきだ。 避難所の佐賀関市民センターには8日正...
働く人たちの賃金や勤務時間をめぐるルールは社会のあり方を変容させる。政府は労働時間規制の緩和の検討に入った。 高市早苗首相は「心身の健康維持」と「従業員の選択」を前提に、労働時間の規制緩和を検討するように求めるが、目的をもっと明確に示...
今年のインフルエンザを侮ってはならない。例年より1カ月早く流行の拡大局面に突入。大分県は8週連続の増加で、豊肥を除く7保健所管内で警報レベルとなった。学校行事の多い時期と重なったことなどから感染者の約9割を20歳未満の子どもや学生が占める...
高市早苗首相の肝いりで「スパイ防止法」制定の動きが加速している。実現すれば一般市民にまで波及して、監視が強まる懸念が拭えない。 戦前の思想弾圧のような過ちを繰り返してはならない。いま本当に必要な法整備なのか、エビデンス(根拠)に基づく...
どろりとした膿(うみ)が一気に吹き出た感がある。 大分市は入札妨害事件で新たに幹部職員ら3人を減給の懲戒処分にした。一方、部落解放同盟などに絡んだ官製談合で市の第三者委員会は長年の入札情報漏えいを認定。「前例踏襲や事なかれ主義が幹部職...
公益通報者保護法は、企業や自治体の不正行為に声を上げる内部告発者の保護を定める。だが告発者つぶしの動きは後を絶たない。福岡県は県道整備を巡る用地買収の内部資料が報道機関に漏えいした疑いがあるとして、買収に関わった職員100人近くから事情を...
衆院議員定数の削減法案に関し、自民党と日本維新の会は、法施行から1年以内に与野党間で結論が得られなかった場合、現行定数465の約1割を削減することで合意した。両党内の調整が付けば、法案に小選挙区で25、比例代表で20の削減が明記され、今国...
高市早苗首相の台湾有事が存立危機事態になり得るとの発言で日中関係が悪化する中、米中や日米関係にまで影響が及びかねない事態になった。 中国の習近平国家主席はトランプ米大統領と電話会談し台湾問題の重要性を強調、これを受けトランプ氏は高市氏...
ワシントン条約の締約国会議の委員会は、ニホンウナギを含むウナギ全種を規制対象にするとの欧州連合(EU)などの提案を否決した。関係者は安堵(あんど)しているが、ウナギ類の国際取引や漁業が極めて不透明だという事実に変わりはなく、ニホンウナギの...
深刻な不況や金融危機でもない平時に、これほどの補正予算案の膨張は常軌を逸していると言うほかない。日本の財政運営への信認を揺るがし、通貨価値の下落などを通じて国民生活を悪化させかねないと知るべきだ。 政府は、経済対策の財源を裏付ける20...
大分市佐賀関の大火は、18日の発災から11日目の28日に半島部分(集落近辺)が鎮火した。市の現地調査で焼損家屋は182棟に上り、今なお100人以上が避難所に身を寄せる。さらなる重層的な支援を急ぎたい。 火災現場はきのう、許可を得た地元...
歩行者の安全が脅かされている。日本自動車連盟(JAF)の全国調査で、大分県の「信号機のない横断歩道での一時停止率」が38・6%にとどまった。全国平均の56・7%を大幅に下回り、全国で43位、九州7県では最下位。法令で「歩行者優先」との規定...
高市早苗首相(自民党総裁)の就任後、初の党首討論が行われた。自民が大敗した参院選後の政治空白により、国会では6月以来の開催となった。 この間、自民は日本維新の会と新たな連立政権を樹立した。少数与党、多党化の政治情勢は続く。政権枠組みの...
2013~15年の生活保護費を引き下げたのは違法とした最高裁判決を受けて政府は、減額した分全部ではなく一部のみを補償すると決めた。 今年6月の最高裁判決は、専門家の審議を経ていないなどとして減額処分を取り消した。これに対し厚生労働省は...
増産にかじを切ったはずのコメ政策が逆戻りし始めた。高市早苗首相が起用した鈴木憲和農相は「需要に応じた生産」を掲げ、前政権が打ち出した増産路線を打ち消した。 コメ政策は農家の収益を左右するだけでなく、消費者の食卓にも直結する。わずかな期...
高市早苗首相が就任して1カ月。強い経済などを掲げ、次々と協議体を立ち上げる一方で、失墜した自民党政治の信頼回復に向けた取り組みには後ろ向きだ。 自民は旧安倍派(清和政策研究会)の巨額裏金事件、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係...
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