ハピカムでは移住に関して幅広い意見が出た=6月17日、宇佐市安心院町の市地域交流ステーション
ミライデザイン宣言ハピカム「移住と共創編」の出演者が暮らす地域では、行政や地域が積極的に移住施策に取り組んでいた。日頃から地元で取材する記者による座談会を開いた。
【移住が進んでいるが、最近の傾向はどうか】
豊後高田 4月に就任した新市長も真玉と田染に宅地造成し、移住者に無償提供すると公約を掲げた。今後も力を入れるだろう。
臼杵 臼杵の場合、食や農業、環境を総合的に「うすき暮らし」としてブランド化を図っている。
宇佐 宇佐は目玉事業こそないが、細かく多くの支援事業を展開している。地域主体で空き家バンクの登録も進めるなど、官民一体で取り組んでいる。
佐伯 佐伯は昨年度、地域振興課内に移住・定住係を新設した。移住者受け入れに力を入れ始めた。
竹田 2010年ごろから「農村回帰」を掲げ、移住者や地域おこし協力隊を積極的に受け入れている。
中津 中津は地域主導で受け入れている。中でも下郷地区が突出している。
【移住者によって地域が変化したケースは】
中津 その下郷地区で発行する地域紙「雲与橋」だが、効果の一つは、地元の人が地域に誇りを感じるようになったこと。当たり前と思っていた暮らしが、外の人からすてきだと言われるのはうれしいようだ。
竹田 移住者によって城下町におしゃれなレストランや花店、パン店などが創業され、町に活気が出ている。訪日客も含め、観光客をうまく取り込んでいる。
豊後高田 田染や香々地では移住者の受け入れが進み、子育て世代が地域のイベントにも積極的に携わっている。田染小学校は児童数が増加し、移住者が多くを占めている。
臼杵 移住者が中心になって受け入れや相談会を開く移住者連絡会を設立した。移住者が手掛けるイベントも活発だ。
宇佐 院内町高並地区では、移住者の受け入れを機に、地域が移住に寛容になった。夏祭りで移住者を紹介したり、一緒にブランド米を売り出したり、新しい動きが起きている。
【移住者受け入れの課題は何だろうか】
豊後高田 移住者への息の長い支援と、移住者・住民との橋渡し役が必要。孤立すれば定住しない。
宇佐 移住者がいかに地域に解け合うかが鍵。住宅や仕事は何とかなっても人や地域との相性は難しい。
臼杵 マッチングかな。移住者の描く理想と現実の落差がないよう、情報の擦り合わせや受け入れ側の情報発信、移住希望者のニーズの把握が欠かせない。
佐伯 若者を呼び込むには働き場が不足している。
中津 空き家情報のさらなる掘り起こし。移住を歓迎する気持ちの醸成も必要。
竹田 地域の活動や祭りなど、濃くなる人間関係へどう配慮できるかだろう。