魅力高める教育の場

> 熱心に指導する蔵本さん。子どもたちにも丁寧な言葉で接する=豊後高田市新町
 宇佐市安心院町松本地区で納豆を作る榑松倫(くれまつりん)さん(40)宅の朝食は豊かだ。パンは近所のパン屋「ぱおぱお」で焼かれ、自家製の納豆や豆乳ヨーグルトと物々交換する。野菜は畑で取れるし、飼育するニワトリの新鮮卵はおいしい。ベーコンは狩猟したイノシシで1年分を作っている。
 榑松さんの2人娘、蕗(ふき)さん(8)、蓬(ほう)ちゃん(4)への教育方針は「自立の手助け」とシンプル。「食べ物が周辺の景色とつながり、食卓で命がつながっていることを大事にしたい」と言う。
 松本地区が魅力的なフィールドだから2004年に移住した。ほぼ自給自足の生活だが、そこが目的ではない。娘たちが自分で生きる力を養い、自立すれば後は本人次第と考えている。
 最近、小学2年の蕗さんが「他の子と何か違うぞ」と感じ始めた。テレビを見ていると「ジビエを紹介する番組で、なぜみんなイノシシの肉を食べていないの?」と聞いてくる。
 「学校でも皆と同じでないと変という雰囲気もあるのでしょう。自然界もそうだけど違って当たり前。それぞれ役割がある。入試も人間の粒をそろえる作業。その人に合った環境が整うと考えてもいいのかな」
 榑松さんの生き方そのもののように教育に対しても自然体で受け止める。
 ■ 
 移住先進地として知られる豊後高田市は教育に力を入れる。「全国学力・学習状況調査」で小中学生ともに県内トップクラス。背景には官民挙げた学力向上の取り組みがある。
 高田高校は昨春、2年続けて京都大学に合格者を出した。中学卒業後、成績トップ層が大分市などに流出する中での快挙だ。
 高校から先の高いレベルの学習環境は地方共通の課題になる中、同市でそこを担うのが田染小崎に移住した蔵本学さん(37)だ。
 東京大学法学部卒業後、国会議員の私設秘書をしていたが、落選を機に失業。自分探しの旅をして豊後高田・田染荘と出合った。11年に移住したが、暮らすとなると生活の糧がいる。「周辺を見ても大手塾がなかったので」と翌年から学習塾を始めた。
 生まれは広島県福山市鞆(とも)。「潮待ちの港」として中世からの港の風景が今も残るのは田染荘と同じ。「荘園の里推進委員会」事務局長なども務め、地域の活動でも積極的に汗を流す。
 蔵本さんは塾とは別に市が主宰する「学びの21世紀塾」でも教壇に立つ。土曜日などを活用して、小中学生に学力の基礎基本を徹底的に教え込む。
 「受験の情報量によって学力が伸びる、伸びないのは不公平。私も浪人時代に苦労しましたし、市も教育に力を入れている。田舎から奇跡を起こしたい」
 教育を“売り”にした官民挙げた取り組みが、地域をより魅力的にする。

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