わが家の本棚に「ショートショートの広場」というシリーズが並んでいる。講談社が1979年から一般公募し、作家の星新一氏や阿刀田高氏が選んでまとめた優秀作品集だ。短い文章で、強烈なオチが待っているのがショートショート。読み終えたその瞬間、「これは一本取られた」と感動すら覚えるものもある。
シリーズの応募対象は素人なのだが、このジャンルが好きでたまらないファン、もしくはマニアたちだと推察される。講談社が「プロも驚くアイデアの妙、そして文章のさえ」と評するほど、とにかく秀逸な作品ばかりなのだ。
中でも、地球人と宇宙人の男女が恋に落ちる話と、滅亡の危機が迫る地球に神様が救世主を送り込む話は、「そうきたか」と驚きの声を上げてしまうほどインパクトのある作品だった。ストーリーやオチを紹介するなんて野暮なことはしないので、ぜひとも読んでほしい。
さて、以下は20年前に、ショートショートを意識して大分合同新聞のコラム「キーボード」に書いた駄文だが、この際なので、読んでいただけたら幸いだ。
■キーボード 未来に思い巡らせる
風呂でよく考え事をする。湯につかりながら、未来の世界に思いを巡らせてみた。
タイムマシンは結局、開発されないとの結論に達した。もし、あるのなら、今の時代に未来人が来ていてもいいはずだが、そんな気配は一向にないからだ。
いや、待てよ。もしかしたら、人類そのものが滅亡しているかもしれんな。戦争や紛争はいまだに絶えないから、自滅の道を歩んでもおかしくない。映画「猿の惑星」のように、ほかの動物が覇権を握ることもあり得るぞ。謎の病気の流行や、宇宙人の襲撃だって考えられる。おー、こわ。
そもそも、地球はあとどれくらいの寿命なのか。人間は自らの快適さのために地球から資源を搾り取り、都合のいい開発を延々と続けている。もうボロボロなんじゃないか。温室効果ガス(二酸化炭素やフロンガスなど)による温暖化だって危ぶまれているじゃないか。大丈夫なのか―。
力んで、おならが一発出た。湯の中を大きな気泡が上昇。顔の前ではじけた。「くっせー」。
地球の未来を案じているときに吸い込む羽目になったのは、自ら放った「風呂んガス」だった。
(虎)
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