豊後高田昭和の町をPRするため、奮闘している昭和仮面=4月、豊後高田昭和の町
豊後高田市中心部の商店街「豊後高田昭和の町」。毎月最終土曜日に開かれる夜台市(やたいいち)を楽しんでいると、遠くから「ショウワー、ショウワー」と大声を響かせる白い影。昭和仮面だ。市の非公認キャラクターながら、知名度は抜群。市内で知らない子どもはいない。そんなローカルヒーローは一体何者なのか。
誕生は2019年。昭和の町を活性化しようと立ち上がった男は、昭和30年代に子どもたちを魅了した月光仮面にそっくり。大手通販サイトでそろえた衣装に身を包み、頭部から腹にかけた大きなパッチワーク「SHOWA」がアクセントになっている。
モチーフにした月光仮面の制作会社からは使用許可をもらい、こちらは、めでたく公認になっている。
報酬は一切求めずボランティアで活動。幼稚園・小学校のマラソン大会で伴走したり、市の移住PRビデオに出演したり。市外のイベントやテレビ出演も多い。最近は昭和の町をテーマにした歌まで歌い始めた。目立ちたいのもあるのか、メディアへの売り込みは強烈だ。
中の人は誰なのか―。その正体は秘密という設定。ただ、この濃いキャラクターはまねができず、一人で演じているとみられる。
おそらく一代限りで見納めだろう。と言うか、このキャラは誰も引き継がない、引き継げない、いや、引き継ぎたくないというのが実情か…。それほどの自己犠牲か、自己顕示を求められる。
身を粉にして豊後高田PRのために働いても、昭和仮面が市公認になる日はなさそうだ。なぜなら人口約2万1千人の市にはキャラクターがあふれている。
市は昨年、公募で新しいキャラクター「そばみちゃん」を作った。2016年からの市ふるさとキャラクター「ラッピー&カモン」もいて、愛らしい2枚看板がそろう。
さらに、公募の最終候補から生まれたロボキャラ「超バスロボ」は、ボンネットバス「昭和ロマン号」をモチーフに、豊後高田昭和の町をPRする存在。今年になって市特産の白ネギ普及を図る「しろね」も誕生した。
だが、どんなにキャラクターが生まれても、昭和仮面を脅かす存在にはならない。独特の立ち位置を持ち誰とも競合しないし、どこか憎めないヒーローをみんな愛している。
会いたい時は探さなくてもいい。彼は今週もどこかのイベント会場で、耳が張り裂けるほどの大声で「ショウワー、ショウワー」と叫んでいる。すぐ見つけられる。