(2)都市にない豊かさがある

戸倉 江里さん 中津市耶馬渓町金吉 カメラマン、農業、「雲与橋」編集長

> カメラを持ち、苗の成長ぶりを見守る戸倉江里さん=中津市耶馬渓町樋山路
 移住して5年。“半農半カメラ”を理想にいのちき(暮らし、生活の方言)している。カメラマンは趣味が高じて仕事になり、九州各地などで活動。農業は目指している暮らしの中では欠かせないもので、夫・徹さん(37)と米作りなどにいそしむ。目標は現代版の「百姓」になること。生活回りの百の仕事ができたという昔の百姓に憧れており、「気持ちのいいこと、好きなことを仕事にして、やっていけたら」と話す。
 生活していた東京は住むところではなく、あくまでも通過点。ホタルの飛び交う田舎で育っており、30代半ばになったらいつか田舎に戻りたいと思っていた。
 いつかが今になったのは2011年の東日本大震災があったから。震災2カ月前から徹さんと田舎暮らしについて話し合いを始め、候補地を義父母の住む九州にしようと決めていた。その中で迎えた3・11。物流が滞れば生活機能がまひする脆弱(ぜいじゃく)な都市の姿にがくぜんとした。すぐに準備を始めた。
 移住先は中津市耶馬渓町下郷地区。初めて訪れた時に心地よさを感じた。無農薬栽培ができる田畑があり、地元に面白い人が多かった。移住した若者もいるなど好感が持てる要素ばかり。有機農業宣言をする下郷農協の存在も後押しした。
 I・Uターン者や住民有志と一緒にグループ「下郷村」を結成し、地域を元気にするプロジェクトで活動する。その中の一つ、不定期刊行「雲与橋」の編集長。企画や編集、写真、取材、デザインに関わり、住民の手で日々の日常をつづるというアルバムのような雑誌を発行している。
 実際の田舎暮らしは甘くなく、煩わしいこともあるという。「全部含めて暮らしが気持ちいい。集落にいると大きな家族のように感じています」
 地元の人はここは何にもないというが、「そんなことはないと思う。都市にはない豊かさがある。冊子を通じてそんな生活を伝えたい。暮らし方の選択肢を知るきっかけになったらうれしいです」。

 【プロフィル】
京都府舞鶴市出身。10歳から大阪府に移り、高校卒業後、デザイン事務所などに勤務。写真専門学校を経てカメラマンになり、東京都へ。29歳の時に独立した。夫・徹さんは農業、映像作家。イヌの「田(でん)」とネコのしまと2人2匹暮らし。39歳。

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